『ガンダム』シリーズの魅力は何と言っても美しくカッコ良いデザインのMS(モビルスーツ)の数々だ。主人公が駆るガンダムはもちろん、襲い来る敵のMSも見どころで、物語の途中に最新機が開発されたり、または愛用機が撃破されるなどといった事情で、新しくモビルスーツを乗り換えて登場するシーンはワクワクするもの。
現実の世界でも短いスパンで色んな車種を運転するということは大変だが、車とは比にならない複雑なMSの乗り換えはもっと大変なはず。それをサラリとこなし、毎度毎度違う機体で主人公と激闘を繰り広げるキャラは、作中の戦果以上にパイロットとして実力があるのではないだろうか? 今回はそんな、機体を乗り換えまくった才能あふれるパイロットたちを紹介したい。
■赤いMSは大体乗った!シリーズの顔シャア・アズナブル
まずはこのテーマで多くのファンが思い浮かべるであろうシャア・アズナブルだ。“赤い彗星”の異名の通り、彼の搭乗するMSの多くは赤く染められた専用機。彼の乗る機体で最も印象的なのはやはりザクIIだろうか。指揮官用の角がついた通称シャアザクは、通常の3倍のスピードで動くらしく、まだガンダムの操縦に不慣れだったアムロを圧倒してみせた。
それ以降は、ズゴックでジャブローに侵入しジムのコックピットを貫く名シーンを披露。ララァとともにゲルググでアムロと戦い、最終決戦ではジオングを乗りこなした。『機動戦士ガンダム』だけでも汎用のザク、水中MSのズゴック、初のビーム兵器を搭載したゲルググ、オールレンジ攻撃のジオングと、全く性能が異なる機体を乗りこなしている。終盤はアムロに圧倒されるシーンが印象的だが、やはりシャアのパイロットとしての技量は飛びぬけている。
その後、続編の『機動戦士Zガンダム』ではクワトロ・バジーナとして参戦。1話から赤いリック・ディアスに搭乗し、多くの視聴者が「このMSの色と声はシャアだな」と確信したことだろう。中盤からは赤を離れ金色の百式に。全身ゴールドのビームコーティングが施された本機は、ハマーンのキュベレイ、シロッコのジ・Oと三つ巴の末に大破してしまった。
生死不明と思われたシャアだが、『逆襲のシャア』で復活。作中では、今やシャアの代名詞ともいえるサザビーを乗りこなし、アムロのνガンダムと激しく戦ったのだ。
作品を跨いでとは言え、映像化されているだけでもこれだけの機体を乗りこなし、宇宙世紀最強のアムロや、ハマーン、シロッコと言った錚々たるメンツを相手にしたシャア。彼の卓越した技術なら、どんな機体も100%のパワーを発揮できるという証明だ。