少女漫画において、ヒーローのハートを揺るがすライバルの存在は重要だろう。ヒロインとの恋愛を盛り上げてくれる存在でもある彼女たちだが、同級生であったり年上であったりとそのバリエーションは豊かだ。
とくに“年上女子”の威力は大きいようで、なかにはヒロインですら“勝てない”と思ってしまうほど魅力的な“年上女子”キャラが登場する作品も多くある。そこで今回は、少女漫画に登場する“ヒーローのハートを揺るがした年上女子”たちをご紹介しよう。
■すべてがパーフェクトな高嶺の花！『花より男子』の藤堂静
１９９２年から２００４年まで『マーガレット』（集英社）で連載された神尾葉子さんによる『花より男子』。一般家庭に生まれ育った正義感が強い女の子・牧野つくしが、“Ｆ４”と呼ばれるハイスペックな御曹司４人組と出会ったことから始まる物語になっている。
まさに少女漫画の王道であるシンデレラ・ストーリーである本作は、井上真央さんや松本潤さんなど豪華なキャストでテレビドラマ化、映画化も果たし、台湾や韓国でドラマ化するほど人気のシリーズとなっている。
そんな本作に登場する“年上女子”といえば、藤堂静だ。静はＦ４の２歳年上の幼なじみで、社長令嬢というお嬢様キャラ。彼女は才色兼備なだけでなく、信念も強い自立した女性で、まさにパーフェクトな“高嶺の花”という言葉がよく似合うキャラクターだ。
かくいう、つくしの思い人だった花沢類も静に長いあいだ片思いをしていたのだから、それほどまでに静は魅力的なのだろう。また、本来自分の好きな人が片思いをしている相手といえば“ライバル”と認識するのが普通だが、つくしが静のことを“憧れの女性”として慕っていることも、彼女が異性だけでなく同性をも虜にしてしまう女性であることを証明している。
静はある意味、恋のライバルだったら“絶対に勝てない”と思わされてしまう、魅力的な年上女子キャラだと思う。
■“魔性の女”だけどなぜか憎めない…!?『天使なんかじゃない』牧博子
１９９１年から１９９４年に『りぼん』（集英社）で連載された矢沢あいさんの『天使なんかじゃない』。本作に登場する牧博子もまた、大人の魅力あふれるキャラではないだろうか。
主人公・冴島翠の通う「私立聖学園」の教師で、美術を担当している牧。彼女は生徒たちから親しみを込めて“マキちゃん”と呼ばれ、翠からも慕われていた。
彼女は、中学時代に非行に走っていた須藤晃にとって家族のような存在であり、当時晃は牧に思いを寄せていた。美しい容姿だけでなく、物腰が柔らかく包容力のある牧。中高生の男子にとって、“憧れの年上女子”の典型のような彼女は、ふわふわと柔らかそうなロングヘアーと、スラリとのびた手足、完璧そうに見えてじつは運動が苦手、など異性の心を掴む要素を持ち合わせているようなキャラだった。
牧には長年付き合っている恋人・将志がいるのだが、彼とはすれ違いも多く、彼女自身も心の葛藤から晃の胸を借りて涙することもあった。そんな牧の様子に、ファンからはどうしても牧を好きになれないという声もあがっていた。
作中では、牧の存在が翠と晃の恋路に大きな影響を及ぼしたことも、彼女がファンから受け入れられない原因だったと思う。しかし、牧のふいに見せる弱さもまた、異性を夢中にさせてしまう“魔性”の要素で、意図せずして異性を虜にしてしまう魅力をもつ牧のような女性は、恋愛において絶対に敵に回したくないタイプだと思った次第だ……。
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