1979年から放映が開始され、今なお多くのファンに愛され続ける『機動戦士ガンダム』シリーズ。今年4月からは、最新作である『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の第2期がスタートし、婚約者同士であったスレッタとミオリネの関係性の変化も注目を集めている。
『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイとララァ・スンや、『機動戦士Zガンダム』のカミーユ・ビダンとフォウ・ムラサメなど、ガンダムシリーズには、かつて心を通わせた2人が戦渦に巻き込まれ、再会したときには敵同士だったという展開が少なくない。今回は、こうした関係になってしまったキャラクターたちを3組紹介したい。
■『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』シロー&アイナ
まずは『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』から、地球連邦軍の小隊隊長シロー・アマダとジオンの名門サハリン家の娘であるアイナ・サハリンの2人。
シローとアイナははじめから敵として出会い、激しい戦いのあと、どちらも宇宙で遭難する羽目になった。そこで協力し合って難を逃れたのをきっかけに、お互いに対する恋心が芽生える。のちにアイナが雪山で死にかけたシローを助け、2人は想いを伝え合って完全な恋仲になるのだが、それをアイナの兄・ギニアスが知ったことで、サハリン兄妹の関係は悪化していってしまう。
物語終盤でアイナは傷病兵たちを宇宙に脱出させるため、一時休戦を呼びかけようとシローたち地球連邦軍の前に立ちはだかる。ところが最終的に交渉は決裂し、傷病兵が乗った脱出艇はジム・スナイパーによって撃墜されてしまった。それに激昂したアイナは反撃を試みるものの、シローの姿を見て思いとどまる。
その後、アイナは業を煮やしたギニアスに撃たれ、機体から落下。しかしシローとアイナをつないだアイテムである懐中時計を胸に忍ばせていたことで、彼女は銃弾から守られた。さらにシローがすかさずアイナの身体を受け止めたため、彼女は一命を取り留めることに。
シローは両親や友人をジオンに殺されており、本来はアイナとは敵対関係であるはずだ。しかし彼は最初から最後まで彼女への愛を信じ続けた。戦争のしがらみに歪められることのないひたむきさには、胸を打たれるものがある。
■『機動武闘伝Gガンダム』セイット&レイン
『機動武闘伝Gガンダム』主人公のドモン・カッシュの幼馴染でパートナーでもあるレイン・ミカムラ。彼女にはかつてセイット・ギュゼルという恋人がいた。
2人はコロニー大学時代の同級生だったが、のちに医者のレインが怪我をしているセイットを偶然発見し、治療するという形で再会を果たす。その際、セイットがDG細胞に蝕まれていたことが発覚。この細胞は本作のラスボス・デビルガンダムの構成材であり、感染するとデビルガンダムの支配下に置かれてしまう。
その後ドモンは“デビルガンダムと関わった奴は必ず倒す”という信条のもと、セイットにガンダムファイトを挑んだ。しかしレインは昔愛したという想いゆえ、2人の戦いの最中、ドモンにセイットを殺さないでほしいと懇願する。最終的にドモンもレインの思いを汲み、死なない程度の一撃を刺すに留めた。
このエピソードで、ドモンはセイットを妬んでいるとも取れる態度を取っている。それにもかかわらずレインの気持ちを汲むことにしたうえ、お礼を言われると照れ隠しをしていた。ドモンとレインが最終的にどんな関係になったかを考えると、なかなか感慨深いものがある。