『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』『魔女の宅急便』にも…“雨”で大きくストーリーが動いた“スタジオジブリの名シーン”の画像
© 1988 Studio Ghibli

 6月15日の今日は、スタジオジブリが創設された記念日だ。1985年に産声をあげたスタジオジブリは、宮崎駿さんや高畑勲さんを中心に、数々の名作を世に送り出してきた。そんなスタジオジブリ作品において、“雨”の描写が大きくストーリーを動かしたシーンも少なくない。

 そこで今回はジメジメと雨が降り続く梅雨を迎えた今、“雨”が印象的に描かれたスタジオジブリの名シーンを厳選してご紹介していこう。

■雨のなか描かれた出会いのシーン! 『となりのトトロ』

 不思議な生き物・トトロと、幼い姉妹の出会いを描いた『となりのトトロ』(1988年公開)。本作において“雨”が描かれたのは、物語のメインキャラである草壁サツキとメイがそろってトトロに出会う印象的なシーンだった。

 メイはトトロにすでに出会っていたのだが、サツキははじめてこのシーンでトトロと出会うことになる。2人は父・タツオが雨のなか帰宅するのを心配し、バス停まで傘を持って迎えにいくことにした。

 シトシトと雨が降るなか、暗いバス停で待つ幼い姉妹。日も暮れ、眠たくなってしまったメイをおんぶして父の帰りを待つサツキだが、ほどなくすると、隣にトトロが現れるのだ。

 メイから話を聞いていたサツキはすぐにトトロだと気づき、雨のなか傘を持たないトトロに父の傘を貸してあげることにした。傘をはじめて見たであろうトトロのリアクションがなんとも可愛らしいこのシーンは、作中でも印象的だった。

 そして傘のお礼と言わんばかりに、トトロはネコバスに乗り込む前に姉妹に小さなプレゼントをくれる。この“雨”のシーンによって、姉妹とトトロは交流を持つようになったとも言える名シーンだった。

■千尋の成長のきっかけは雨のなかの来訪者!『千と千尋の神隠し』

 10歳の少女・荻野千尋が不思議なトンネルの先にある異世界に迷い込んでしまう『千と千尋の神隠し』(2001年公開)にも、印象的な“雨”のシーンが登場する。

 千尋は湯婆婆に「千」という名前をつけられ、油屋で働くようになってまもなく、彼女に試練が訪れる。

 ある雨の日、油屋へやって来たのは「オクサレ様」と呼ばれるヘドロをまとった神だった。油屋の従業員たちも逃げ出すほどのひどい悪臭を放つオクサレ様なのだが、湯婆婆はまだ新人の千にオクサレ様の世話を任せるという過酷な試練を課す。

 教育係のリンとともにオクサレ様を担当した千。四苦八苦しながらも、やがてオクサレ様に隠された秘密に辿り着く。

 実は“腐れ神”などではなく、名のある河の主だったオクサレ様。千がとある秘密に気づいたおかげで、つらい状況から脱することができたオクサレ様は、大満足の様子で油屋をあとにするのだった。

 その際に金の粒をばらまいて去っていった河の主のおかげで、油屋の従業員だけでなく、湯婆婆も千を褒めちぎっていた。

 千尋の成長をメインに描いた本作において、彼女の大きな一歩ともなったオクサレ様との出会い。雨のなかのおどろおどろしいオクサレ様の姿も印象的で、“雨”というキーワードにおいてこのシーンは外せないと思う。

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