■最強の実力を隠す糸目キャラたち
続いては、『テニスの王子様』の不二周助。試合シーンで目を開くことが多い彼だが、やはり目を閉じて温和な笑みでニコニコと皆を見守っている姿が印象深い。
そんな不二が初めて試合でその瞳を開いたのは、4巻の不動峰戦で河村とダブルスを組んだときのこと。つばめ返しを決めた後「天才 不二周助」というセリフを背負って立つ姿は凛としていた。決めポーズもバッチリ決まっている。
瞳の色自体は同作の他のキャラクター同様珍しいものではなく、髪の毛と同系色の茶色。なお、以降も試合で本気を出した際には開眼シーンが多く見られるので、不二の開眼シーン自体は珍しいものではない。
荒川弘氏による『鋼の錬金術師』のリン・ヤオもまた開眼シーンが印象的なキャラだ。同作の中盤から登場したキャラで、はるか東国からシンの皇帝となるべく、賢者の石を求めて主人公のエドワードたちのいるアメストリスを来訪してきた。
糸目キャラのテンプレートのように、常に笑顔でひょうひょうとしてはいるが、非常に頭がよくしたたかな面もあるリン・ヤオ。物語の途中でホムンクルスのグリードの新たな器となり、グリードの意識を宿してなお自意識を持ち続けるという精神力の強さも見せる。
印象的な開眼シーンといえば、やはり戦闘時。開眼する頻度はかなり多く、特にグリードが肉体に入ってからは開眼しながらしゃべるシーンも多いが、リン・ヤオがもっともカッコいいのはコミックス12巻の表紙の、従者であるランファンを守りながら剣を掲げる姿だろう。意志の強いその瞳からは、他でもない王の素質を感じた。
最後は車田正美氏の『聖闘士星矢』の乙女座のシャカ。金髪のロングヘアの美しい容姿を持つ彼は、糸目を超えて、いつも瞳を閉じることであえて五感の一部を絶っている。そうすることで小宇宙(コスモ)を高め、開眼の際に爆発的に高まった力を解放させるのだという。
そのためアイオリアをもってして「シャカの目を開かせるな」と言われており、作中でもっとも神に近い男として扱われている。
シャカは周囲の空間に異空間を生み出し相手の逃げ道を封じたうえで五感を破壊していくという最大奥義「天舞宝輪」を使用する際にその瞳を開いたが、その姿はまつ毛の長い青緑色の瞳が美しかった。一見女性のようなたおやかな姿であるが、使う技はどこまでもサディスティックである。
いつも笑っている糸目キャラが本気を出すシーンはとにかくカッコ良くてシビれるものが多い。今回はイケメンキャラに絞って紹介したが、『ドラゴンボール』の魔人ブウや『キン肉マン』のラーメンマンも似た系統のキャラクターだといえるだろう。