■恐ろしくもどこか不遇な扱いが可哀想? 『BLEACH』金色疋殺地蔵
2001年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された久保帯人氏の『BLEACH』は、“死神代行”として活動することとなった主人公の高校生・黒崎一護の激闘を描くバトル漫画だ。
死神たちは“卍解”によって、各々が持つ斬魄刀の真の姿と能力を引き出すことができるのだが、武器としての見た目を捨てた特殊な形態を持つ斬魄刀も登場する。
なかでも、赤ちゃんのようなインパクト大な見た目を披露したのが、涅マユリの卍解によって解き放たれた金色疋殺地蔵(こんじきあしそぎじぞう)だ。
赤ちゃんの上半身が芋虫と組み合わさったような巨体を持っており、もともと持ち合わせていた“毒”をばらまく能力に加え、胸部から刃を生やしたり、その巨体を使って相手を圧殺するといったさまざまな攻撃を得意とする。
致死性の劇毒という凄まじい能力を有しているものの、作中はなにかと不遇な扱いを受けることも多い。
能力を初披露した際には滅却師・石田雨竜によって真っ二つに破壊されてしまい、“破面編”では敵に襲い掛かるも操られ、最後は涅マユリによって“自爆”させられるといういたたまれない展開が続いてしまう。
本来、斬魄刀は死神にとってのパートナーのような存在でもあるのだが、涅マユリは金色疋殺地蔵のことをあくまで“道具”として見ており、事あるごとに改造して様々な機能を追加していた。
おどろおどろしい見た目と苛烈な能力を持っていながら、作中で見せた数々の悲惨な姿には、思わず同情してしまいそうになってしまう。マッドサイエンティストのパートナーとなったことが運の尽きか……とはいえ、相手とするにはまさに“命がけ”の戦いを強いられる、なんとも恐ろしい一刀である。
“赤ちゃん”という可愛らしい見た目は、ときにその内面とのギャップによって強烈なインパクトを生み出す。無垢な表情の裏側に覗く狂気は、キャラクターが持つ戦闘力や特殊能力以上に、どこか生理的な恐怖を見る者に与えるのだろう。