■ミント味が爽やかでクセになる「カルミン」

 1921年に販売が開始されたロングセラー商品の「カルミン」(株式会社明治(旧:明治製菓))。「カルシウム」と「ミント」から由来するネーミングで、ポリポリと歯ごたえのいいミント味のタブレットの爽やかな風味が人気だった。

 大正時代から昭和時代にかけ、「ココアカルミン」や「パパイヤカルミン」、「チェリーカルミン」などが相次いで販売され、2009年にも「カルミンイチゴ」が新たに販売されたが、2015年3月末をもって惜しまれつつも生産を終了……94年の歴史に幕を下ろした。

 販売当時の値段は5銭ほど。手頃な価格で当時の子どもたちに少し大人な“ミント味”を教えてくれたカルミン。生産終了の理由は売れ行き不振によるものだったそうだが、今でもふと食べたくなる“幻の味”となってしまった。

■番外編:不思議な煙がモクモク!「おばけけむり」「ようかいけむり」

 駄菓子ではないが、駄菓子屋の商品として定番だった「おばけけむり」(小林商店)。姉妹商品である「ようかいけむり」とともに人気を博し、カードに触れた指をつけたりはなしたりと素早く動かすことで、モクモクと煙のような白いものが出現するというおもちゃだった。

 定価10〜30円ほどのおばけけむり、ようかいけむりは、束のなかから好きなカードを1枚抜きとって購入することができた。放課後に駄菓子屋にたむろして、友人たちとどちらが多く煙を出せるかと競っていた思い出がある人も多いだろう。

 そんなおばけけむりは、製造者の高齢化や資材がなくなったことを理由に製造を終了した。商品を取り扱ってきた堀商店が2020年8月にSNSで「在庫限り」でなくなってしまうことを告知すると、かつておばけけむりで遊んでいたファンたちから惜しむ声が相次いでいた。

 

 子どものころに親しんでいたこれらの商品たちは、後継者不足や高齢化、世界情勢の影響を受け、惜しまれつつも次々と姿を消している。いつでも出会えると思っていたからこそ、いざなくなってしまうとさみしいものである。

 幼いころに口にした駄菓子たちの味は、写真や映像を見るだけで鮮明に蘇ってくるものだ。現在でも販売を続けてくれているロングセラー商品たちを、この機会に懐かしんで食べてみてはいかがだろうか。

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