“元祖梅ジャム”に“らあめんババア”、“カルミン”も…今では懐かしい「消えた駄菓子」たちの思い出の画像
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 子どものころ、放課後にお小遣いを握りしめて駄菓子屋に通った思い出がある人は多いだろう。かくいう筆者も、バリエーション豊かな駄菓子たちに心躍らせながら、お小遣いで買えるものを厳選していた1人だ。

 あのころ親しんだ駄菓子たちのなかには、ひっそりと姿を消してしまったものも多い。そこで今回は、そんな「消えた駄菓子」たちの思い出を語っていこう。

■甘酸っぱいジャムが遊び疲れた体にしみる「元祖梅ジャム」

 1947年ごろから販売されている、梅の花本舗の社長・高林博文さんが考案した「元祖梅ジャム」。この商品は、終戦後に「紙芝居を見る子ども向けに梅のお菓子を作ってみたらどうだろう」と、試行錯誤した末に完成したものだという。

 16歳のころから、元祖梅ジャムを70年作り続けた高林さんだが、高齢を理由に2017年をもってこの商品の生産を終了している。現在ではタカミ製菓が販売している「梅ジャム」が、この商品の味に似ていると言われているようだが、慣れ親しんだ元祖梅ジャムが恋しい人も多いだろう。

 駄菓子屋での販売当時、5円だった元祖梅ジャムは、昭和40年代に10円へ値上げ。それ以降は、お値段据え置きで子どもたちに愛された。薄いせんべいに塗って食べた思い出が、パッケージを見るだけで蘇ってくるようだ。

■口に一気に流し込んでボリボリ食べた!「らあめんババア」

 1994年に販売が開始された「らあめんババア」(よっちゃん食品工業)。インパクト絶大なネーミングと、おばあさんがラーメンを豪快にすすっているポップなパッケージに惹かれて、つい手にとっていたという人も多いのではないだろうか。

 チキン味のラーメンを細かく砕いたようならあめんババアは、定価20円ほどと価格もお手頃。食べたときの満足度も高く、おつまみなどにした経験がある人もいるだろう。

 そんならあめんババアは、2020年8月末をもって生産が終了している。生産元のよっちゃん食品工業によると、原因は原材料の高騰と新型コロナウイルス感染症によって安定供給が困難になったことだそうだ。未曾有の災厄によって、懐かしの駄菓子にまで影響が出ているとは……なんとも言い難い気持ちである。

■ジブリ映画でもお馴染み「サクマ式ドロップス」

 スタジオジブリ映画の『火垂るの墓』にも登場する「サクマ式ドロップス」(佐久間製菓株式会社)。1908年に販売が開始されたこの商品には、イチゴ味やレモン味、ハッカ味など8種類の色とりどりのドロップスが入っている。

 缶を振ると鳴るカラカラとした音……。次にどの味が出てくるのか、好みの味を求めて缶をひっくり返し、手のひらに出しながら食べた思い出がある人は多いはずだ。

 そんなサクマ式ドロップスは、販売元である佐久間製菓株式会社が新型コロナウイルス感染症による販売数の低下や、原材料などの高騰、人員確保が困難になったことなどを理由に2023年1月20日に廃業することとなり、それにともないサクマ式ドロップスも115年の歴史に幕を下ろした。

 現在では1937年に社長に就任していた山田弘隆さんの3男・山田隆重さんが創業したサクマ製菓から「サクマドロップス」が販売されている。味の種類に多少の違いはあるものの、懐かしの味が受け継がれており、今も子どもたちに愛されている。

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