■ハム太郎よりハムスターになりきれる!? 『とっとこハム太郎2 ハムちゃんず大集合でちゅ』
続いて、2001年に「ゲームボーイカラー」専用ソフトとして発売されたシリーズ第2作目『とっとこハム太郎2 ハムちゃんず大集合でちゅ』の収集要素に関して紹介したい。
本作はハム太郎がほかのキャラと会話することがなく、“物語内で収集した「ハム語」を使って喋る”というキャラゲーとしては稀有なシステムを採用している。全部で86種類あるハム語を集めながら、気になる箇所でハム語を使ってみることで新たな道が開けるという進行方法なのだ。
すべて集めずともストーリー自体はクリアできるものの、しかしこのシステムは「全部集めないとクリアした気がしない!」というゲーマー気質の子どもたちを苦しめる要素でもあったのである。
用意されたおもな6つのステージ内での探索は自由度が高めだったため、ミニゲームや寄り道をとにかく隅々までこなさなければならない。現在のように、“困ったらすぐにスマホで検索”という時代でもなかったため、当時のゲームにおける収集要素としてはかなりの高難度であったと言えよう。
しかしこのゲームの恐ろしいところは「ハム語」収集だけに留まらない。ほかにも9種の「メロディー」、12種の「スター」など、とにかく収集要素が豊富過ぎるのである。とくに12種の「スター」に関してはまったくのノーヒントだったため、この「スター」集めの段階で本作に触れることを辞めてしまった子どもも多かったようだ。
豊富な収集要素がゲーマーのトラウマになったのは間違いないが、各地を奔走し深く意味も考えずにあらゆることを試させるという、ハム太郎よりハムスターらしさを追求できた作品としては、紛れもない“神ゲー”だったのではないだろうか。
子ども向けのキャラクターながらも、比較的高難易度だった『ハム太郎』のゲーム。おばけ屋敷のダークさや、終わりの見えない収集要素が用意されていることは、任天堂のゲームらしい部分であるとも言える。
補足として、今回紹介した2作品とも、プロデューサーとしてかかわっているのが、今、話題の『ゼルダの伝説』の生みの親である宮本茂氏であるというのだから、トラウマ要素を含みながらも“神ゲー”と称される理由がどこか納得いくものである。