■「大佐、どいてください。邪魔です」
『機動戦士ガンダム』でアムロとの戦闘時にシャアが攻撃されそうになり、ララァ・スンが援護しようとしたときには「大佐、どいてください。邪魔です」と邪魔者扱いをされていた。
「ララァ・スンは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ」という有名なセリフからも分かるように、ララァは基本的には上官であるシャアを慕っていて、受容的な態度で接していた。それだけにほかと比べてもインパクトの強いセリフであるように思う。
このセリフは今まで挙げたものと違い悪意のこもった発言ではないが、ニュータイプとしてはララァに劣るシャアは、この戦闘時は足手まといになってしまっている。
■「世界の都合というものを洞察できない男は、排除すべきだ」
最後は『機動戦士Zガンダム』最終話からハマーン・カーンのセリフ。過去には憧れの対象としてみていたものの、一向に道をともにしてくれないシャア(クワトロ)へ、ハマーンは見限るように「世界の都合というものを洞察できない男は、排除すべきだ」と力強く言い放っている。
これはシャア、ハマーン、そしてシロッコという3人の戦士が一堂にそろった名場面で出たセリフ。シロッコが「私は歴史の立会人にすぎん」と言うように2人の動向は、宇宙世紀の今後を左右するものだった。そしてハマーンはシャアにザビ家再興に力を貸せと言うが、シャアはそれに対し「ニュータイプへの覚醒で人類は変わる。その時を待つ」「また同じ過ちを繰り返すと気づかんのか」と拒否をする。ここで出たのがハマーンの「世界の都合というものを洞察できない男」という言い回しだった。
かつて恋心を抱いたシャアに、ハマーンがここでも執着を見せているということは想像に難くないが、自分のものにならないなら消えればいいと言わんばかりのセリフにはとても強い執念を感じざるを得ない。
以上5つのセリフを振り返ったが、シャアはさまざまな女性と親密になろうとしたり逆に女性から好意を抱かれる一方で、親密になった女性に対して責任を持てず相手を不安にさせていることが非常に多い。そうした接し方が災いして、レコアやハマーンのように僧しみに転じてしまうのではないだろうか……。並べてみると痛烈だが、彼女たちの気持ちを理解できるようなセリフばかりではある。