『ガンダム』シリーズの中でも稀代のプレイボーイとも言えるほど、多くの女性キャラと特別な関係を結んできたシャア・アズナブル。
容姿端麗であることに加え、エースパイロットとしての高い実力、指揮官としてのカリスマ性、そして女性に対しての包容力もあり、確かにモテるのも頷ける。だがその一方で、女性たちから思いやりに欠ける点や野心の強すぎる点を指摘されており、しばしば手厳しい評価を下されるキャラでもある。今回は、そんなシャアに向けられた女性キャラからの辛辣なセリフをいくつか紹介したい。
■「貴方はいつもそうして。いつも自分だけ高いところにいようとする」
まずは『機動戦士Zガンダム』から、シャア(クワトロ・バジーナ)とは恋仲に近しいほどの関係にあったレコア・ロンドが放ったセリフ。
彼女はもともと反地球連邦組織エゥーゴの女性士官として情報収集をおもな任務としていたが、ジュピトリスでパプテマス・シロッコに出会ったことで敵陣営ティターンズに鞍替えし、その後クワトロと対峙する。その際に放ったのが「大尉。貴方はいつもそうして。いつも自分だけ高いところにいようとする」という言葉だった。
レコアがなぜエゥーゴ(クワトロ)を裏切りティターンズ(シロッコ)についたのか直接は語られていないが、表情からもクワトロへの恨みつらみを感じさせる。この後、レコアの言葉は「世界が自分を中心に動くと思うな。シャア!」「わたしがあなたを倒すのだよ、シャア!」とさらに辛辣になっていく。
■「何だか怖い人ね、ギラっとしてて。戦争以外の世界では生きていけない人じゃない」
同じく『Zガンダム』では、エゥーゴに加入したベルトーチカ・イルマが目の前を通りかかったクワトロを目にした際に、初対面にもかかわらず「何だか怖い人ね、ギラっとしてて。戦争以外の世界では生きていけない人じゃない」「平和なインテリジェンスを感じないわ」と言い放っている。なんとなく女の勘のようなものに引っかかるものがあったのかもしれない。
ただこうしたズケズケとした物言いは、彼女の人の本質を捉える鋭い視点からくるもの。同じエピソードではその後恋仲となるアムロとも初めて顔を合わしているが、その際使っているせっけんのブランドを当て、彼が戦争に怯えていることも一発で見抜いた。クワトロを表現した「何だか怖い人」というのもまったくの的外れではないだろう。
■「そんな兄は見たくありません、いっそ死んでくれれば…」
文字面だけでいうと、妹であるセイラ・マスのセリフも厳しい。
セイラは『機動戦士ガンダムZZ』で久々の登場をはたした場面で、ブライト・ノアに兄シャアの近况について教えてもらった際に「そんな兄は見たくありません、いっそ死んでくれれば…」「野心と妄想……兄は、何か宇宙の意志のようなものに従わねばならないと思っているんです」と言い放っている。
『機動戦士ガンダム』時点では家族としての情が残っているように思えたが、そこから吹っ切れシャアとの決別を決意したことを象徴するセリフであるように思う。セイラが好きなのはキャスバル兄さんであって、シャア・アズナブルではないのかもしれない。