5月27日は何の日かご存じでしょうか。1986年5月27日にファミコン用ソフトとして『ドラゴンクエスト』が発売されたことにちなみ、本日は「ドラクエの日」として、ゲームアプリやSNSなどで毎年さまざまなイベントが行われています。これは発売元のスクウェア・エニックスが制定しただけでなく、2018年に日本記念日協会によって認定されたちゃんとした記念日で、2年前の「ドラクエの日」に行われた生配信番組では『HD-2D版 ドラクエ3』や最新作『ドラゴンクエスト12 選ばれし運命の炎』の制作も突如発表されました。
1986年に1作目が発売され、現在までに11作目までナンバリングタイトルが発売されている『ドラクエ』シリーズ。シリーズ初のダークファンタジーを謳う『ドラクエ12』の発売を楽しみにしているファンも多いでしょう。特に『ドラクエ』は、多くのゲームファンにRPGの面白さと同時に、幅広い層にゲームの楽しさを教えてくれた一本です。その楽しさとはなんなのか、あらためて振り返ってみたいと思います。
■時間に追われず、反射神経が微妙でもゲームが進められた
当時のゲームは、ファミコンに限らずアーケードゲームやパソコンゲームも含めて、アクション性の高いゲームが大半を占めていました。そしてそれらの難易度は高いものが多く、反射神経の高さやレバー、ボタンさばきといったテクニックやセンスがなければ、クリアどころか先に進むことすら覚束ないものでした。しかし、『ドラクエ』には、それらが一切必要ありません。
街やフィールドでの移動やモンスターとの戦闘には反射神経は必要ありません。華麗なコントローラーさばきも必要なければ、タイムアップもなく、自分のペースでゲームを進められます。モンスターにやられてしまっても、所持金が半分になるだけで、ゲームオーバーもありません。コンティニューもろくになかった時代からすれば、リスクはあっても安心して自分のペースで楽しめる。『ドラクエ』はあの頃のゲームでは数少ない、誰でもプレイできる、誰でも進められるゲームだったのです。
■間違えると悲惨な「ふっかつのじゅもん」だけど時間を置いても続きができる
『ドラクエ』を遊んだ人なら誰しも抱いている「ふっかつのじゅもん」のエピソードは、苦くも大事な思い出だと思います。そんな「ふっかつのじゅもん」は、“前にプレイをやめたところの続きができる”、つまりファミコンの電源を切っても、前にプレイを中断したところから続きが遊べる。大半のアクションゲームのように最初から遊びなおす必要がなく、また一日に遊べる時間が決められていた(あの頃はテレビは一家に一台が普通で、ゲームで長時間占有するなんてそれはもう恐ろしい所業だといえるでしょう)人も実質的に長時間のプレイを可能にしました。
コツコツと長い時間をかけてキャラクターを育成する楽しさ、そしてそのキャラクターを未来の自分に受け継がせられる「ふっかつのじゅもん」は、『ドラクエ』の面白さを形にするためには不可欠な機能だったといえるでしょう。いまでも「ふっかつのじゅもん」さえ残っていれば、当時の続きから遊べるという点では、電池が切れてデータが消えている可能性のあるバッテリーバックアップ搭載のRPGよりも優秀かもしれませんね。