後年にドラマ化された実写版が有名になりすぎて、あまり知られていない原作漫画がある。とくに昭和の時代はネットで情報をリサーチできなかったので、書店に行かないとなかなか分からなかったものだ。そこで、実写版が凄まじいインパクトだった原作漫画を3つ紹介していこう。
■ヨーヨーといえば麻宮サキ! 時代背景も抜群だった『スケバン刑事』
まずは1975年から『花とゆめ』(白泉社)で連載された、和田慎二さんによる『スケバン刑事』だ。1985年から放映されたドラマシリーズでは、斉藤由貴さん(初代)、南野陽子さん(二代目)、浅香唯さん(三代目)が、歴代「麻宮サキ」を演じている。
アイドル全盛期ともいえる当時、斉藤由貴さんは兄が大ファンだったので、筆者も小学生ながら一緒にドラマを観てハマったものだ。ちなみに筆者はナンノ(南野さん)推しだったな。
当時、筆者は少年漫画しか読んでいなかったので、原作を知らなかった。知ったのはヨーヨー遊びをしているときに、5歳上の従姉妹が「麻宮サキって漫画にも出てくるよ」と教えてくれたのがきっかけだったな。
それにしても、小学生時代には本当にヨーヨーが流行ったものだ。二代目がテレビ放映されていた当時「おまんら、許さんぜよ」と言いながら教室でヨーヨーバトルをしていたが、接近戦になるので痛いのなんのって……。先生から、「ヨーヨーを人に向けるのはスケバンがするものだ!」と、わけのわからぬ理由で怒られた記憶がある。
麻宮サキはスケバンという背景もあり、原作では格段に言葉遣いが悪い。ただ、正義の信念を持っているので、悪には屈せず人生を3周はしていそうなほどいいことを語ってくれる。時代背景が抜群だったのだろう。
そういえば筆者が幼少のときに、自転車でこけて膝を擦りむいて泣いていると、近くにいた女性が声をかけてくれた。見るとロングスカートで短いパーマをかけ、赤い口紅をたっぷり塗ったセーラー服のお姉さんが……。彼女は「もう泣いたらアカンで」と、傷口に絆創膏を貼って頭を撫でてくれたうえ、自転車を起こして「おっしゃ、気を付けな」と優しく言ってくれた。“スケバン=怖い”が覆ったときだったな。懐かしい……。
■江戸時代のハードボイルドがカッコいい! 再放送を何度も観た『子連れ狼』
次は、1970年から『漫画アクション』(双葉社)で連載された、原作:小池一夫さん、作画:小島剛夕さんによる『子連れ狼』だ。当時、父がテレビのチャンネルを独占していた影響で、ドラマの再放送を何度も観た記憶がある。
主人公で剣の達人でもある拝一刀と、乳母車に乗った息子の大五郎。寡黙で冷静な剣豪も、子連れとなれば守りながらの戦いにもなるためハンデがある。江戸時代を舞台にこの名コンビが織りなすストーリーは、小学生ながらに胸が熱くなったものだ。
この作品も、原作を知らずにドラマから入ったものだ。萬屋錦之介さんがとてもカッコよく、痺れたものだな。高校生のとき、漫画好きの友人から原作を教えてもらって読んだのだが、なんともいえないハードボイルドさでこれまたカッコよかった。
ストーリーは単発の話もあるのだが、大きな復讐を果たす長い旅物語でもあるので、大五郎が成長していく過程も楽しめる。強い拝一刀だがたびたび刺客にやられることもあり、ハラハラさせられたものだ。
それにしても『子連れ狼』というネーミングのセンスが秀逸すぎる。一匹狼のような孤高の存在なのに、“子連れ”という設定。しかも乳母車とかなりの高ハンデ……。人々の噂になりやすいのも納得だな。