“黒ひげ”ティーチ、ラオウ、戸愚呂弟…敵キャラながら強者の美学を感じる悪役が発した忘れられない珠玉の名言5選の画像
ゼノンコミックスDX『北斗の拳【究極版】』10巻(徳間書店)

 漫画やアニメに欠かせないのが主人公と相対する悪役や敵キャラ。魅力的な敵キャラは、物語を盛り上げてくれる大切な存在だ。そして、敵キャラが発するセリフには、時に彼らには彼らなりの正義や美学があることが現れており、それによって読者も彼らの人間性を知ることができるのだ。

 そこで、今回は敵としての美学を感じずにはいられない、悪役・敵キャラが発した忘れられない名言5選を紹介する。

■「人の夢は!!! 終わらねェ!!!!」/『ONE PIECE』マーシャル・D・ティーチ

『ONE PIECE』(尾田栄一郎氏/集英社)で、ルフィ最後の敵キャラと考察されることも多い黒ひげ海賊団の船長である“黒ひげ”マーシャル・D・ティーチ。

 この名言は、空島の情報を集めていたルフィとゾロが、ベラミー海賊団から空島やワンピースは幻想だと因縁を付けられたことで生まれる。この光景を見たティーチは、「海賊が夢を見る時代はもう終わったんだ」とベラミーが言う“新時代”を「クソだ」と全否定。さらに「人の夢は!!! 終わらねェ!!!!」と言い放ったのだ。

 ルフィと対比するように描かれる部分も多いティーチだが、共通する価値観が垣間見えるのも面白い。ルフィとティーチ、2人の夢の行方が気になるところだ。

■「わが生涯に一片の悔いなし!!」/『北斗の拳』ラオウ

北斗の拳』(原作:武論尊氏・作画:原哲夫氏/集英社)で、ケンシロウの義兄であり、「世紀末覇者 拳王」を名乗り、拳王軍による暴力と恐怖で人々を支配したラオウ。

 この名言は、ケンシロウとの最終決戦に敗北したラオウが絶命する前に生まれた。拳王として覇道を突き進んだラオウが、最後に闘ったのは、かつて北斗神拳の伝承者争いに敗れたケンシロウその人だった。両者ともに死力を尽くした死闘の末に敗れたラオウは、成長したケンシロウを称えると、「わが生涯に一片の悔いなし!!」というセリフとともに、自身の闘気をすべて天に打ち放ち、拳を天高く突き上げたまま絶命したのだった。

 ケンシロウとは違う道を歩むこととなったものの、最終的には互いが認め合う最大の強敵として散ったラオウ。その圧倒的なカリスマ性や強さ、矜持がにじみ出ている名言ではないだろうか。

■「オレは品性まで売った覚えはない」/『幽☆遊☆白書』戸愚呂弟

『幽☆遊☆白書』(冨樫義博氏/集英社)で、元人間のB級妖怪として、暗黒武術会で幽助の前に立ちはだかった戸愚呂弟。幽助に敵としての可能性を感じた戸愚呂弟は、幽助を暗黒武術会に招待し、2人は決勝戦で戦うことに。

 この名言は、そんな幽助との真剣勝負の最中に、横入りしてきた戸愚呂兄とのやり取りにおけるセリフだ。勝負に水を差されたことなどに怒った戸愚呂弟は「ジャマだ兄者」と、兄を蹴り飛ばしてしまう。弟の思ってもない対応に怒った兄に「関係ないね」と言い放ち、「オレは品性まで売った覚えはない」と一蹴したのだった。

 戸愚呂弟なりの美学を感じるセリフと言えるだろう。死後、多くは語らないまま、最も過酷な地獄である冥獄界へと旅立った彼。もし、どこかで人生が変わっていたら、と思わずにはいられない悪役だ。

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