■絶対ムリでしょ! 麻酔なしで腕の骨をえぐられても涼しい顔…
さて、最後は関羽の晩年のエピソードになるのだが、やはり名医・華陀による手術のシーンは凄い。
関羽は樊城の戦いで毒矢の攻撃を左腕に受け、容態が悪くなってしまった。診察に来た華陀の見解によれば、腕が腐りかけており、骨を削って悪血を出すしかないという。
麻酔すらない時代、激痛に耐えられないだろうと手術の前に関羽を縛り付けようとした華陀だが、当の本人は「そんなものはいらん」と断言。そこで華陀はしかたなく、そのまま彼の腕の皮膚を切り裂き、肉を出して骨を削った。漫画でも“ゴリゴリ”という擬音が使われていたのだが、気絶ものだろう。しかし関羽は終始平然として取り乱すこともなく……これには冷静沈着な馬良も、思わず冷や汗をかいていた。
最終的に「名医と名患者」とまとめられていたが、いや、これで平気だなんて本当に人間なのか? もちろん華陀の技術も素晴らしいのだろうが、麻酔なしで静かに耐える関羽はとんでもない。これは気性の荒い呂布や張飛では耐えられないだろうし、下手すれば華陀をぶん殴っていただろう……。
関羽の仰天エピソードだったが、いかがだったろうか。関羽という武将なれば、仰天というほどではないという人もいるだろう。
しかしだからこそ残念なのは、晩年となった樊城の戦い以降だ。華陀とのエピソード後は後手に回ることが多く、徐晃や呂蒙、陸遜といった名将たちの結束によって敗れてしまう。
三国志で最大の激戦区となった荊州を任されていた関羽だったが、三国志の正史同様、演義でもここで散ってしまったのは本当に残念だったな。