■強さと脆さが垣間見える最高の人柄! 『ジョジョの奇妙な冒険』の「J・P・ポルナレフ」
最後は荒木飛呂彦氏の『ジョジョの奇妙な冒険』の第3部に登場する「ジャン=ピエール・ポルナレフ」だ。
主人公・空条承太郎の敵側のスタンド使いとして立ちはだかったポルナレフ。“シルバーチャリオッツ(銀の戦車)”というスタンドのネーミングがまたカッコいい。
初登場時は飛び抜けた身体能力も見せており、アヴドゥルに敗れたあとは炎に焼かれながら潔く死のうという騎士道精神をも持ち合わせていた。その後は、ジョースター一行の頼もしき味方となる。
旅の途中、ポルナレフは一時期アヌビス神に体を乗っ取られてしまい、承太郎と戦う羽目になる。最強のスタンド使いといっても過言ではない承太郎だが、“手加減して戦える相手ではない”と冷や汗をかいており、いつもクールな彼が焦っていたのが分かったものだ。
そう……それほどまでにポルナレフは強いのだ。現に第3部では最後まで生き残っているし、イギーとアヴドゥルを失いながら、強敵のヴァニラ・アイスに最後は競り勝ったほど。
しかし、そんなポルナレフもギャグキャラとして読者を盛り上げてくれた。襲われて死にそうな状況下での花京院との“パンツーまる見え”や、敵のエンヤ婆に便器を舐めさせられそうになってしまったり……(あれは嫌だった)、極めつけはホル・ホースとの戦いで背中越しに銃口を突き付けられたときに見せた「うしろだっつーのに」のジェスチャーだ。
仲間に危機を伝えようと、とんでもない変顔で目を後方に向けようとし、舌が完全に自由自在な動きで矢印に変貌していた。あれには爆笑したものだが、なんとまったく伝わっていないのだから面白い。
ポルナレフは激情しやすいキャラで、冷静なほかのメンバーと違って慌てふためくシーンも多く、人間味があったところも好きだった。妹の仇となったハングドマンとの鏡のシーンや、ディオとの階段のシーンはとくに印象深かった。相手の凄さを際立たせるのに向いているキャラだったな。
ここで紹介したキャラは主人公と同等の強さを持つほどにみんな強いのだが、いつの間にかお笑い系のキャラになってしまった。それでもファンは多く、主人公たちの心強い仲間としても活躍しており、本当に愛されキャラだったといえるだろう。名作には名脇役はつきものといえるぞ。