■涙もろい熱血漢! 『僕のヒーローアカデミア』クラスト
2014年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載されている、堀越耕平氏の『僕のヒーローアカデミア』は、“個性”と呼ばれる特殊能力を活かし、人々を守る“ヒーロー”を目指す少年たちの成長劇を描くバトル漫画である。
多種多様なヒーローたちが登場するなかで、盾をフル活用して戦うのが、“The・正統派の男”と称されるプロヒーロー・クラストだ。ヒーローらしくマスクとマントを身にまとい、熱血漢で情に厚く、なにかにつけて涙を浮かべていることが多い彼。暑苦しい性格ではあるが、作中でのヒーローとしての人気も高い。
そんな彼の個性はそのものずばり“盾(シールド)”で、六角形が密集した盾を全身の至るところから生成できる。生み出した盾の硬度は非常に高く、防御力は折り紙付き。さらに、この盾を相手に叩きつければ、武器としても活用することが可能だ。
作中では“シュートシールド”なる必殺技も披露しており、生成した盾を投げつけ相手の腕を切断するなど、硬さゆえの凄まじい切れ味も見せつけた。
一見するとほかのヒーローたちの個性に比べて地味に見えるものの、単純ゆえにさまざまな形で応用が利く、まさに“シンプルイズベスト”な能力とも言えるだろう。同時に、それを使いこなすクラストのヒーローとしての実力の高さもうかがえる。
盾を武具としてだけでなく、自身を表す“シンボル”にまでしてしまった、実に面白いキャラクターだ。
本来は攻撃から身を守るための道具であり、どうにも地味な印象が否めない“盾”。しかしなかにはその堅牢さを逆手に取り、武器として活用するキャラクターも少なくはない。超能力で生み出したり、兵器として機能を拡張したりと、作品ごとに見える“進化”の形もさまざまだ。