敵の攻撃から身を守るために使う“盾”。しかしなかには、マーベル作品に登場するキャプテン・アメリカのように、盾そのものを武器として活用するキャラクターも存在する。そこで今回は、盾を用いて攻防一体の活躍を見せるキャラクターたちについて紹介していこう。
■“楯座”の名に恥じない圧倒的な防御力!『聖闘士星矢』楯座のヤン
1985年から1990年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載され、『Ⅴジャンプ』にて完結編が掲載された車田正美氏による『聖闘士星矢』。本作には星座の名を冠した個性豊かな聖闘士(セイント)たちが登場するのだが、なかでも盾にまつわる星座を背負うのが、楯座(スキュータム)のヤンだ。
ヤンは1987年に公開された劇場版『聖闘士星矢 邪神エリス』に登場するキャラクターで、邪神エリスの力によってあの世から蘇った“亡霊聖闘士(ゴーストセイント)”と呼ばれる存在である。長い黒髪が特徴のヤンは“楯座”の二つ名の通り、左腕に盾を装備している。劇中では同じく盾を持つドラゴン紫龍の相手として立ちはだかった。
ヤンの盾の硬度は非常に高く、ドラゴン紫龍の攻撃をいともたやすく封じ、その拍子に拳を破壊するなど、圧倒的な防御力を見せつけた。
また、ヤンは盾以外に体術でもドラゴンを圧倒。上空から蹴りで襲い掛かる必殺技“ボーン・クラッシュ・スクリュー”で相手の盾を砕き割り、徹底的にドラゴンを追い詰めていく。
最終的には、ドラゴンが放った渾身の“廬山昇龍覇”によって敗れてしまったヤンだが、攻守ともに隙のない立ち回りで視聴者をもおおいに絶望させた。
■ミサイル内蔵シールドを携えた白兵戦特化型MS『機動戦士ガンダム』ギャン
1979年に放映がはじまったアニメ『機動戦士ガンダム』は、その絶大な人気から国民的ロボットアニメとして、今もなおシリーズの制作が続いている。本作にはさまざまな“モビルスーツ(MS)”が登場するのだが、そのなかで盾を活用して戦うのがギャンだ。
作中では、ジオン公国の突撃機動軍大佐であるマ・クベの愛機として登場。ザク同様のモノアイと、どこか西洋の騎士を彷彿とさせるような、細身のアーマーが特徴的なMSである。
その最大の特徴は“白兵戦”に特化した性能で、レイピアのような形状のビーム・サーベルと円形のシールドを用いて、主人公・アムロが操るガンダムと激闘を繰り広げた。
ギャンが手にしているシールドは“ミサイル・シールド”とも呼ばれ、その内部にはニードル・ミサイルと宇宙機雷であるハイドボンブが内蔵されているため、中距離、遠距離に対しての威嚇やけん制も可能となっている。ニードルミサイルは威力こそ低いものの、相手の可動部にヒットさせて戦闘不能に陥らせることも可能で、使い方によっては十分な戦力となり得る。
身を守りながら相手に遠距離攻撃を仕掛け、距離を詰められれば得意の白兵戦に持ち込み……と、機体の性能とマッチした戦い方を実現するのに役立つ、高性能な盾だ。
最終的にはアムロの操作センスとガンダムのパワーに押し負けてしまったギャンだが、圧倒的ポテンシャルを秘めた主人公機に対し善戦したことから、その機体性能の高さが見て取れる。
盾をただの防護壁ではなく、一つの立派な“兵器”として見事に活用した、実にロマン溢れるMSだ。