■主人公の出生が過酷すぎる…小花美穂『こどものおもちゃ』
1994年から連載された小花美穂氏の『こどものおもちゃ』。本作は子役として活躍する主人公・倉田紗南と、彼女のクラスメイトで超問題児の羽山秋人を中心に、いじめや家庭問題、少年犯罪など、社会問題にも触れたセンセーショナルな作品だ。
紗南の出生が“公園のベンチに捨てられていた”ことや、母を亡くしたつらさから実姉に“悪魔の子”と責められていた秋人を取り巻く環境など、今考えてみても、なかなか深刻な内容が含まれていたように思う。
子ども目線で見た“社会の闇”ともいえるさまざまな問題を描いていたため『りぼん』の作品にしては「重たい」という評価もあるようだが、1996年にはその人気からテレビアニメ化も果たしており、忘れられない名作だといえるだろう。
■ファンタジーに隠された真相の闇! 種村有菜『満月をさがして』
2001年から連載された種村有菜氏の『満月をさがして』は、病弱な少女・神山満月が死神たちの力を借りて16歳の姿に変身し、アイドルデビューを果たすというファンタジー作品だ。
美しく可愛らしい種村氏の絵柄に、恋愛あり、芸能界ありと盛りだくさんなストーリー……さらにファンタジー要素もある本作は当時の“りぼんっ子”たちの心をわしづかみにし、人気を博した。
しかし、主人公は余命いくばくもない12歳の少女という衝撃の設定もさることながら、満月が出会う死神の過去には悲恋の末の自死があったりなど、少女漫画ながら重たい設定も見受けられた。
ドラマチックな展開にハラハラしながら、キャラたちの行く末を見守っていたファンも多かっただろう。
時代とともに移りゆく少女漫画界だが、いつの時代も『りぼん』の作品たちは、胸キュンもあり、感動作もありと“王道少女漫画”を楽しませてくれている。
それでいて、今回紹介したような昼ドラや韓国ドラマのような“ドロドロした人間関係”を描いた少し大人っぽい作品や、さらに、ギャグ漫画にファンタジー作品……と、読み応えがあるラインナップが揃っており、まさに青春時代を『りぼん』と歩んだ少女たちは多いはずだ。
少し大人な内容の物語をドキドキしながら読み進めていた当時を思いだし、ぜひこの機会に色あせない名作たちを読み返してみてはいかがだろうか。