少女漫画雑誌として、小・中学生を中心に人気を博している『りぼん』(集英社)。今も昔も日本の少女漫画界を牽引する本誌には、可愛い作画で思わず胸キュンしてしまう少女漫画が目白押しだ。
しかし、そんな『りぼん』には、実は“複雑な人間関係”を描いた作品も多数ある。当時、子どもながらに衝撃を受け、ドキドキしながら作品を読み進めていたという“りぼんっ子”も多いだろう。そこで今回は、『りぼん』で連載されていた“ドロドロした人間関係”を描いた名作たちに焦点を当ててご紹介しよう。
■複雑に絡みあった人間関係…! 一条ゆかり『デザイナー』『砂の城』
1974年に連載が開始された『デザイナー』は、『りぼん』黄金期を支えた漫画家のひとり、一条ゆかり氏の名作だ。
ある日、自分を捨てた母親と思いもよらぬ再会を果たした主人公・亜美。そこから彼女の運命の歯車が狂い始めていく……というストーリーで、亜美を取り巻く複雑な人間関係を含め、まるで“昼ドラ”さながらの愛憎劇となっていた。
亜美は不慮の事故によりモデルという夢を絶たれてしまうのだが、それでも決して折れない強い姿に勇気づけられた読者も多く、その大人びた物語が“りぼんっ子”たちだけでなく大人の女性たちにも刺さり大人気に。
そんな『デザイナー』は時を経て、2005年にTBS系列の「ドラマ30(昼ドラ)」で実写ドラマ化を果たしている。松本莉緒さんが亜美役を、亜美のライバル・鳳麗香役には国生さゆりさんが起用されるなど、豪華なキャストも話題となった。
ほかにも“ドロドロした人間関係”といえば、1977年から連載された『砂の城』も有名だ。フランスが舞台で、裕福な家の一人娘、ナタリー・ロームと兄妹同然に育ったフランシス・ドベルジュとの数奇な運命が描かれている。愛した男性とその息子を巻き込む、これまた“昼ドラ”的展開……。
“可愛い=少女漫画”という概念からかけ離れた、“愛憎劇”の名作が多い一条氏の作品たち。波乱の展開をおそるおそる見守りながら読んでいた“りぼんっ子”も多いだろう。
■愛し合った2人に兄妹疑惑!? 吉住渉『ママレード・ボーイ』
吉住渉氏による『ママレード・ボーイ』は、1992年から連載が開始された。主人公・小石川光希は、ある日突然両親が離婚し、さらに違う夫婦とパートナーを入れ替えて再婚するという衝撃の報告を受ける。
現実ではありえないような物語なのだが、少女漫画における「イケメン男子との同居ラブコメ」を王道で描いた本作は、たちまち『りぼん』の看板作品として人気となった。
吉住氏の可愛い絵柄とは裏腹に、意外にも複雑な人間関係が描かれている本作。作中、光希が恋に落ちる松浦遊だが、実は2人に“血縁関係があるかもしれない”という疑惑が持ち上がる。愛し合っている2人の血縁関係疑惑といえば、今や韓国ドラマの十八番だろう……。
この胸キュンだけではない複雑な設定に、当時の“りぼんっ子”たちは夢中になった。その後、本作はテレビアニメ化、実写ドラマ化、実写映画化とさまざまな派生作品が作られており、当時、いかに『ママレード・ボーイ』が人気だったかをうかがい知ることができる。