■必殺の「電波投げ」で敵をバッタバッタと倒した『仮面ライダーストロンガー』タックル役の岡田京子

 続いて1975年放送の『仮面ライダーストロンガー』から、電波人間タックルこと岬ユリ子を演じた岡田京子さんを紹介。前述したビジンダーにはスーツアクターや吹き替え声優が存在したが、一部代演があるものの、当時16歳の岡田さんがアクション込みでタックルを熱演したというから驚きだ。なお、2009年公開の映画『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』では、当時15歳だった広瀬アリスさんが岬ユリコ(※子ではなくコ)とタックルを演じている。

 タックルと言えば、カブト虫のストロンガーに対して愛らしい「てんとう虫」をモチーフとした改造人間。頭部はヘルメットとマスクを合わせたようなデザインで素顔の半分が見えており、丈の短いスカートとパンツを合わせた赤いスーツが彼女の代名詞だ。必殺技の「電波投げ」は触れることなく敵を投げ飛ばし、特に大勢の戦闘員を一度に転倒させた際には「カッコイイ!」と叫ばずにはいられなかった。

 そんなユリ子はかなり不幸な設定。17歳のときにブラックサタンに拉致され改造手術を受けるも、脳改造前にストロンガーこと城茂に救われる。こうして茂とともにブラックサタンと戦う放浪の旅を続けるが、強化改造を受ける前のため戦闘力は奇械人より弱く、さらには記憶をほぼ失っていた。その後、敵の毒ガスで余命わずかになるも気丈に振る舞い、想い人・茂を守るため悲しい最期を遂げてしまうのだ。

 当時のライダーに不可欠な変身や改造、そして専用バイク・テントローまで持つ彼女は、女の子たちの「私たちも仮面ライダーごっこがしたい」という要望から生まれたシリーズ初の変身ヒロイン。岡田京子さんは1986年に27歳という若さで亡くなっているが、彼女の戦う姿は今も多くのファンの心に残り続けているだろう。

■パンチやキックの腕前は少林寺拳法のおかげ?『ザ・カゲスター』ベルスター役の早川絵美

 最後は1976年放送の『ザ・カゲスター』から、風村鈴子と彼女の影から生まれたベルスターを演じた早川絵美さん。ベルスターも顔半分が出ているため当時21歳だった早川さんが演じていたが、実は彼女は少林寺拳法初段の腕前で、特技は太極拳や殺陣というアクション俳優でもあった。

 早川さんが演じた鈴子は風村コンツェルンの社長令嬢で、部下である姿影夫とともに白蝋魔人に誘拐されてしまい、高圧電線の事故によりカゲスターとベルスターを生み出す能力に目覚める。本作は普通の変身モノとは違い、「変身」ではなく悪を憎む心を影に移す「分身」ヒーローだ。また、鈴子が秘書や経営者など働きながらサタン帝国と戦っていたり、主人公の影夫が部下であったりなど、当時をふり返ってみてもかなり先進的なヒロインだった。

 ベルスターの衣装は白い布地のミニスカートで、ヘルメットや胸の辺りに赤い渦巻き模様が入っていたが、もっとも印象的だったのが背中のマント。早川さんは拳法で培った鋭いキックやパンチの他に、華麗なマントさばきでベルスターの女性的な美しさを表現していたのだ。さらに、鈴子役ではホットパンツと呼ばれる衣装を大胆に着こなすなど、カッコイイ「姉御」としても作品に花を添えたヒロインだ。

 今回紹介した3人は、皆が当時では珍しい160センチ以上の身長を持つヒロインたち。その長い手足から繰り出されるキックは子ども心にも憧れで、女児であった筆者も布団の上で必死に真似をしたものである。男の子の専売特許出会った特撮ヒーローを、私たち女の子にも楽しめるよう手を差しのべてくれたのが彼女たち「変身ヒロイン」なのかもしれない。

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