飛影やデューク東郷など、思わず「キャラ変わりすぎだろ!」とツッコみたくなる予想外の変貌を遂げたキャラ3選の画像
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』セレクション1 “人情編” [DVD](バンダイビジュアル)

 漫画に登場する主要キャラクターに対して、「あれ? このキャラ、初登場時とかなり変わってない?」と思ってしまうことはないだろうか? 1回だけの登場で終わらせる予定が予想外に読者から人気を得たことで登場回数が増えて徐々に変わっていったものや、作品が長く続いているうちに作風の変化に合わせてキャラクターも変わっていったものなど、その理由は作品によっても様々だろう。変わり方も、口調や態度など人格レベルのものから、見た目まで変わってしまうものまで色々なパターンがある。たとえば『遊☆戯☆王』(高橋和希氏/集英社)の海馬瀬人もその1人で、彼の激変には誰もが驚いたはずだ。

 そこで今回は、あまりにもキャラが変わりすぎだろ……と思わずツッコんでしまいたくなる、そんなキャラクターを紹介していきたい。

■やられキャラの小者感あふれる初登場!『幽☆遊☆白書』飛影

 冨樫義博氏による『幽☆遊☆白書』(集英社)は、連載当初はそれほどシリアスなストーリーではない。主人公の浦飯幽助が車に轢かれそうな子どもを助けて交通事故死し、生き返るための試練として霊に関係する事件を解決していく、というのが序盤の展開で、ヒューマンドラマ的な物語だった。それが、幽助が生き返って霊界探偵になったことで作品の方向性が変わり始め、バトルが中心となっていったのだ。

 そのため、本格的なバトル漫画になる前に登場するキャラクターたちは、蔵馬を除いては少し毛色が違う感じもする。特に飛影は、幽助にやられるためにあえて出てきたキャラクターにしか見えないのだ。螢子を妖怪に変えようとする卑怯な手を使うなど、言動の端々からも小物っぽい雰囲気が漂い、挙げ句に「この剣の柄の中に解毒剤が入っている!! 女を助けるためにはそれを飲ませるしかないぞ」などという、雑魚敵キャラの負けフラグそのもののセリフまで口にしてしまう。幽助に倒された時も、ズルズルと崩れ落ちる姿はどこか格好悪く、ギャグっぽく見えてしまう。

 だが、そんな飛影が次に現れた時には、かつて感じさせた小物感は一切なく、クールで残忍な剣士として登場した。あまりの変貌ぶりに目を疑ってしまったが、そこからどんどん強くなっていくと、幽助と肩を並べて戦う重要な存在になっていったのだ。後半の飛影が格好よくなればなるほど、初登場の頃の姿は何だったのかと思ってしまった。これこそまさに黒歴史としか言いようがない。

■御曹司キャラを突き抜けた破天荒さ『こち亀』中川圭一

 秋本治氏による『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(集英社)にもキャラ変してしまった人物がいる。それが、主人公の両さんこと両津勘吉の後輩である中川圭一だ。明治時代から続く大財閥「中川コンツェルン」の家系に生まれた中川は、モデルのような容姿に、幼少期から受けた英才教育により勉強もスポーツも超一流という、いわば“完璧超人”として知られるキャラクターだ。そんなバックボーンと資質を持っている一方で、意外と情に厚かったり、たまに金銭感覚などが庶民とはかけ離れてはいるものの常識人としての側面もあったりもして、両さんに対するツッコミ役としての役割も受け持っている。

 というのが一般的な中川のイメージだが、それはおおむね原作中期以降のものと言ってもいいだろう。中川は連載第1回目から登場するキャラクターだが、初期においては世間知らずというレベルでは収まらないくらい破天荒なキャラクターだったのだ。

 タクシーで出勤すると代金は署へのツケにしてしまい、警察官の制服がダサいと話すと勝手にオーダーメイドの制服へと着替えてしまう。拳銃も警察官が所持するニューナンブではなく、自前と思われるマグナムを所持しており、会話の流れから熱くなってしまい一般車に向けて発砲……というのが中川の初登場。両さんとはまた違うベクトルに突き抜けてしまっていた。

 これは、連載初期の『こち亀』の作風が、かなりドタバタテイストのギャグ漫画寄りだったことが影響していたと思われる。連載が進むにつれ、次第に作者である秋本治氏の趣味などを題材として作品内に反映させるようになっていき、キャラクターの役割や性格なども次第に変わっていったのだ。長寿漫画だからこそのキャラ変ともいえるだろう。

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