漫画やアニメには裏切り者キャラがたびたび登場する。なかにはのっぴきならない理由があって裏切る者もいるが、その一方で平然と裏切り行為を繰り返す軽薄な者も……。登場人物や読者から憎まれることも多いが、時にそのすがすがしいとも言える裏切りっぷりでカリスマ性すら感じさせるキャラたち。今回は、そんな印象的な“裏切りキャラ”を紹介したい。
■自分の興味の赴くまま動く『HUNTER×HUNTER』のヒソカ
裏切り者といわれて多くの人が思いつくのは、冨樫義博氏による『HUNTER×HUNTER』のヒソカだろう。
団長のクロロと戦うため幻影旅団に偽装入団していたヒソカは、根っからの戦闘好き。見どころのある者をオモチャ扱いし、反対に弱者にはどこまでも残忍な性格だ。彼は自身の興味や目的のために動くので、結果、裏切りといえる突飛な行動を幾たびもとってきた。
ヒソカの一番の裏切りは、ヨークシンシティ編でクラピカに団員の秘密をばらしたことだろう。またクロロが“天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)”で団員を占った際、彼は裏切りを示唆する予言を受け取ったが、自身の念能力によって即座に都合よく改ざんしていた。
また、グリードアイランド編でも同様の行動が見られ、ゴンにバインダーを見せるよう言われた際にも、不都合な情報を伏せている。
果ては幻影旅団を退団し、一応仲間だったはずのコルトピとシャルナークを殺害したヒソカ。“伸縮自在の愛(バンジーガム)”と“薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)”を予想外の方法で巧みに操る彼が、今後もゴンたちとどう関わっていくかが楽しみだ。
■飄々とした言動が怪しい『Dr.STONE』のあさぎりゲン
続いては原作:稲垣理一郎氏、作画:Boichi氏による漫画『Dr.STONE』。全人類が石化した世界で文明の再興を目指す主人公たちの姿が描かれる本作には、あさぎりゲンという胡散臭いキャラが登場する。
二面性を表現しているのだろうか、右半分が白髪で左半分が黒髪といった髪形や、なんでも仕込めそうなゆったりとした服を着ているのが印象的なゲン。彼はもともと芸能界でマジシャン兼メンタリストとして活躍していた。
そんな来歴を持つゲンは飄々とした性格で、とにかく口がうまい。はじめは千空と対立する獅子王司側として登場したものの、文明のない世界で“コーラを作る”との約束で寝返り、以降は司に嘘の報告をするなどして千空に協力していた。
このほか、ゲンは手先の器用さや声帯模写など常人離れした技を駆使し、周囲を翻弄することも多い。心理学に明るく、交渉や人心掌握もお手の物の彼が味方についてくれて、本当に良かった。
とはいえ“自分の利益になる方につく”ことを明言するほど軽薄な性格ゆえ、あらゆるシーンで「実はこの間にも千空を裏切っているのでは」と、ハラハラしていた読者も多いだろう。