マ・クベが「壺」ならジェリドは… 『ガンダム』シリーズの個性派キャラたちが散り際に放った名セリフ5選の画像
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』第16巻

 数多くの名言が残されていることでも有名な『ガンダム』シリーズ。MS爆散前の僅かな間で放たれる一言で、そのキャラの印象が決まってしまう、ということもしばしばだ。今回は『ガンダム』シリーズに登場したキャラが散り際に放った名セリフを5つ紹介したいと思う。

■冷徹な心に宿していた騎士(ナイト)の精神「マ・クベ」

 まずは『機動戦士ガンダム』より、ジオン軍のマ・クベを紹介しよう。

 稀代の骨董品マニアであったマ・クベは第37話「テキサスの攻防」にて、テキサスコロニーで対峙したガンダムとの戦闘の末に敗北、その死の間際に「ウラガン! あの壺をキシリア様に届けてくれよ! あれは…良いものだ!」という言葉を残す。

 マ・クベはこの時、ガンダムに2本のビームサーベルでコックピットの両サイドを挟み込まれ、まばゆい光の中にいた。間もなく訪れる死を悟ったであろう刹那、自身が寵愛していた白磁の壺を思い出し、忠誠を誓った上官のキシリアに献上することを今際の際で望んだのだ。

 冷徹な性格で文官寄りの思考を持つマ・クベだが、最後まで自身が愛した壺と、上官のキシリアを想うこのシーンからは、自らの信念にとことんまっすぐで一本芯の通った男であったことがうかがえる、マ・クベの魅力が詰まった名セリフである。

■紛れもない敗北を喫しその生涯を閉じた「ジェリド・メサ」

 続いては『機動戦士Zガンダム』より、ティターンズ士官ジェリド・メサの散り際のセリフを紹介しよう。

 作中では、カミーユを越えるべき壁と定めて何度も激突するが、そのたびに敗北を繰り返し、第49話『生命(いのち)散って』で戦死するまでカミーユに敵うことはなかった。

 Zガンダムにコックピットを直接撃ち抜かれることなく、ビーム・ライフルを受けた反動で戦艦ラーディッシュの爆発に巻き込まれるという、あっけない結末を迎えることとなるのだ。

「カミーユ…! 貴様は俺の…!」というセリフがジェリドの残した最期の言葉であったが、あとに続く言葉は「すべてを奪った」であると、のちに原作・総監督の富野由悠季氏が明らかにしている。

 そもそも2人の因縁は、ジェリドがカミーユの名前を聞いて「なんだ男か」と馬鹿にしたのがきっかけだった。そんなささいな出会いから狂い始めたジェリドの人生。最後まで一人の男に負け続けたジェリドの怨念がこもった、24年間の短い人生の最期としてはふさわしくない悲しきセリフである。

■死を覚悟した男の高らかな勝利宣言「ノリス・パッカード」

 ジェリドとは対照的に、主人公に“勝利”して散っていったキャラとして挙げられるのが『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場したノリス・パッカードだ。

 ジオン軍の大佐としてサハリン家に忠誠を誓った義に厚いノリスは、ケルゲレンの退路を確保するため、グフカスタムを駆り単独で出撃する。劣勢をものともせず目的の量産型ガンタンクを2機撃破し、最終的に対峙したシローのEz8に両断されながらも、その背後にいた残りの量産型ガンタンクを命を賭して射撃し撃破した。

 そんなノリスの最期のセリフは「勝ったぞ!!」である。対して量産型ガンタンク護衛の任を全うできなかったシローは、「負けた…」と漏らすのだ。

 老獪な立ち回りで不利な戦場を支配し、自身の命を顧みず任務を全うしたその姿には、あっぱれというほかにない。初見ではその個性的な髪型につい目が行ってしまいがちだが、知れば知るほどかっこいい『ガンダム』シリーズ屈指の武人として、いまだ多くのファンを持つキャラクターである。

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