『名探偵コナン』「首を腹に隠し」「ほぼ運任せのピタゴラスイッチ」物語初期に描かれた「難易度最高」のトリックたちの画像
少年サンデーコミックス『名探偵コナン』5巻(小学館)

 4月14日に公開された『名探偵コナン』のシリーズ26作目となる映画最新作『名探偵コナン 黒鉄の魚影』。歴代最高となる大ヒットスタートを切り、公開から18日で観客動員数557万人、興行収入79.7億円を突破し、シリーズ初となる興収100億円突破が確実視されている。

 青山剛昌氏による原作漫画『名探偵コナン』は1994年より連載開始され1996年からアニメが放送されている長寿人気作品。これまで多くの事件が起き、江戸川コナンがさまざまなトリッを持ち前の推理力で暴いてきたが、あまりの長寿作品であるがゆえに、「このトリックは無理があるのでは?」と思うものも少なくない。 

 もちろん、フィクションの世界への現実的な視点でのツッコミは野暮ではあるが、今回は作中で描かれた実際には再現が難しそうないくつかのトリックを紹介したい。

■実は「太っていなかった」トラウマ事件の犯人

 まずは、コミックス5巻の「山荘包帯男殺人事件」のトリック。この事件は毛利蘭の親友である鈴木園子の初登場回であり、彼女の姉の所属していた映画研究会の同窓会が悲劇の舞台となる。

 犯人はかつて自殺した恋人の無念をはらすため、彼女の脚本を盗作した張本人である池田知佳子のバラバラ殺人を行った。

 この回で明らかになった犯人は大道具を担当していた高橋良一。彼は背の低いかなりの肥満体型の男性だったが、実際には「太っていなかった」というのがトリック。彼は実際にはやせた人物で、太ったように見せた膨らんだ腹部に、被害者の首を隠して運び出していたのだった。

 この大胆すぎるトリックを覚えている人は多いだろう。体型をごまかすために日頃から相当な苦労が必要なことや、いくら服の重ね着でごまかしても、顔の肉づきなどでバレてしまいそうなトリックだ。

 だが、犯人の温和そうな風貌と、首を持って運ぶという残忍さのギャップがあり、そこが非常に怖い事件でもあった。この回は当時の『コナン』にしては珍しくバラバラ死体が出てくることなどから「トラウマ回」としても語り継がれているエピソードである。

  1. 1
  2. 2