画力はもちろん、物語の質や人気を維持し続けることで作品として成り立たせている「漫画家」という職業。その生活の実態は我々には未知数ながらも、決して楽な仕事ではないことは、漫画に興味のない人でも認識していることだろう。とくに、漫画家は睡眠時間が異常に少ないというのは有名な話である。今回は有名漫画家たちの睡眠時間がいかなるものか、数名を例に挙げて紹介していきたいと思う。
■ルフィの夢の果てに読者も連れて行ってもらいたい…「尾田栄一郎」の睡眠時間
まずは、いよいよその物語が佳境に突入した、世界中が注目している漫画『ONE PIECE』の作者・尾田栄一郎氏の睡眠時間を見ていこう。
尾田氏の睡眠時間については、2016年に発売されたDVD付きの分冊漫画講座『ジャンプ流!』や、2019年に放送されたフジテレビ系列のバラエティ番組「ホンマでっか!?TV」内にて明かされている。
その睡眠時間は、なんと1日たったの3時間! 筆者にとっては3時間睡眠など昼寝と同等の時間に過ぎない。それを数日ではなく年単位で続けることができるのだから、さらに驚きである。
常に読者に驚きと興奮を与える物語を作るその創作力を、「才能」という言葉で片付けるのはおこがましいが、3時間睡眠で集中力とクオリティを保ち続けるというのは努力では補えない「才能」ではないかと思いたくもなる。
現在は月に1回ほどのペースで休載している『ONE PIECE』。休載のたびに次回号が待ち遠しすぎるのだが、しっかり完結を迎えて伝説になってもらうためにその連載スタイルをあと押しするのも、いち『ONE PIECE』ファンとしての心構えかもしれないと思う次第である。
■神龍に不眠の身体を叶えてもらったのか…「鳥山明」の睡眠時間
続いては、『ドラゴンボール』の作者・鳥山明氏の睡眠時間を見ていこう。
2016年に発売された『ジャンプ流!』のvol.1にて、その驚くべき睡眠時間が明かされた。一番大変だったときは、1週間の睡眠時間がなんと20分しかとれなかったとのこと。具体的には4日間徹夜して20分睡眠を取り、起床後はさらに3日間徹夜というサイクルをこなしたこともあったようだ。
人間は不眠状態が続くと、身体にさまざまな異常をきたすとされている。人間である以上、睡魔に抗うことはきっと得策ではないはずなのだ。とはいえ、漫画家としての執念で文字通り命を削って描き上げた『ドラゴンボール』が、結果的に世界中で人気を博し、多くの人を感動させ続けているのだから、ものすごい偉業を達成していることには間違いない。
週20分睡眠という信じがたい文字の並びに意識が向きがちだが、個人的に驚いたのは
4日徹夜して20分睡眠だけで再び起きられるというところだ。「眠いからちょっと寝よう」で後悔したことがある人が世の中にどれだけいるだろうか。次元が違うということを痛感させられる、鳥山氏の伝説的な話である。