尾田栄一郎氏による『ONE PIECE』は、連載開始から間もなく26周年を迎えようとしている。未だに数々の謎を残しているが、なかでも第1話から登場しておりルフィの憧れの存在である大海賊“赤髪のシャンクス”の強さやその目的などは、読者が常に注目しているポイントだろう。
とくにシャンクスの目的が何なのかについては、誰しもが考察の域を出ないが、今回は徐々に明らかになりつつある「赤髪海賊団」の強さに焦点を当て紹介していきたいと思う。
※以下には、コミック『ONE PIECE』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。
■読者でも感じるシャンクスのやばい「覇気」
第1話で、腕を失ってまでもルフィを窮地から救ったシャンクス。「覇気」の伏線になっているとも思わなかった圧倒的な威圧感で近海の主を追い払ったシーンは、物語のなかでも屈指の名シーンだ。
物語が進むにつれてシャンクスが「四皇」という存在であること、腕が一本しかないのにもかかわらず、“鷹の目”や“白ひげ”と刃を交える強さを持っていることが明らかになり、知らず知らずのうちに「シャンクスはとにかく強い」という意識が読者に刷り込まれていったと思う。
その強さがとくに際立つ目新しいシーンといえば、コミックス104巻、第1055話“新時代”ワノ国の侍VS海軍大将・緑牛との戦闘に介入したシーンだろう。
ルフィの首を求め、ワノ国を襲撃する緑牛。ギリギリのところで応戦していたモモの助たちだが、負けじと緑牛が本腰を入れようとしたときだ。「バリバリッ!!」と海上から覇王色の覇気が放たれ、巨大な樹の身体になろうとしていた緑牛の能力を強制的に解除させるのである。続けて「キィィン…」と見聞色の覇気と見られるもので“赤髪海賊団”の存在を知らしめ、緑牛の戦意を喪失させるにいたったのだ。
見事に「覇気」を使いこなしているシャンクスだが、注目したいのは、「赤髪海賊団」の新入りまでもが泡を吹いて倒れているという一コマだ。
“覇気”は乱戦場においても敵のみに向けて放てることは、ルフィが「新魚人海賊団」との戦闘で証明している。しかし、おそらくルフィよりも覇気の扱いに長けているはずのシャンクスが放つ覇気は、敵のみに向けたとしても周囲の人間をある程度巻き込んでしまうほどの威力があるということが、このシーンから見て取れるのだ。
あくまでも緑牛への警告の意味を込めて放った覇王色の覇気。もしもシャンクスが本気を出したら、はたして海軍大将でも立っていられるのだろうか……なんて考えてしまう。
ちなみに昨年公開された『ONE PIECE FILM RED』のクライマックスでシャンクスが放った覇王色の覇気は、同じく海軍大将・黄猿にも汗をかかせるほどだった。
今後の物語でシャンクスが本格的に戦う際は、その覇気をどのように使いこなし対峙した者を圧倒するのか、目が離せない注目ポイントである。