2023年4月30日でテレビアニメ『鎧伝サムライトルーパー』が放送開始から35周年を迎える。当初こそ人気を集められず、放映も一年足らず(全39話)と苦戦した同作。ところが、番組も終盤にさしかかった頃には女性を中心に爆発的な人気となり、その勢いはさまざまなメディアにも取り上げられ、ついには社会現象まで引き起こすほどだった。
そこで今回は、周囲のオタ友だちがこぞって「沼落ち」した同作の人気を、近くで見ていた女性である筆者がふり返ってみたいと思う。
■バトルスーツで戦う理由はある大ヒット作品の影響
『鎧伝サムライトルーパー(※以下、サムライトルーパー)』は、サンライズによるオリジナルアニメーション作品だ。人間界を支配せんと目論む妖邪帝王・阿羅醐(あらご)の野望を打ち砕くため、5人の少年たちが「鎧擬亜(よろいギア)」で戦う物語。キャラクターデザインを担当した塩山紀生氏は『装甲騎兵ボトムズ』のキリコ・キュービィーなど硬派なキャラを手がけており、本作のメインキャラも強い眼力が特徴的な美形ぞろいだった。
1988年4月30日から1989年(平成元年)3月まで、名古屋テレビ・テレビ朝日系列で毎週土曜17時30分から18時に放送。当時この番組枠には『機動戦士ガンダム』をはじめとした『ガンダムシリーズ』や『勇者シリーズ』など、サンライズ制作によるロボットアニメが大半を占めていた。
つまり、モビルスーツなどロボット同士の戦いから、タイトルにもある“鎧”をまとったキャラのバトルものへと路線変更した本作だが、それにはある大ヒット作品の影響があったという。
それこそが、1986年にテレビアニメ化された『聖闘士星矢』だ。星矢たち5人の少年が星座を冠した「聖衣(クロス)」をまとい悪と戦うのに対して、本作では「鎧擬亜(よろいギア)」と呼ばれる鎧を使用する。両作は後に続く1989年の『天空戦記シュラト』や1996年『超者ライディーン』など、今でいう「バトルスーツ」で戦う「美少年アニメ」のさきがけとなった存在だ。