■将軍と暗殺者の顔を併せ持つ達人・輪虎と飛信隊の信
秦が魏へ攻め込んだ山陽攻略戦では、元趙三大天の廉頗が立ちはだかる。
廉頗四天王の一人である剣の達人・輪虎は、秦軍の千人将を次々と暗殺していき、戦場では指揮官として凄まじい突破力を見せるとんでもない将軍だ。信は同じ千人将の王賁と連携して輪虎と戦うが、余裕を見せつけられる。とはいえ、序盤こそ圧倒的な実力差だったが、次第に信が輪虎の動きに追いついていくのだ。
信は輪虎の左手指を斬り落とすが、それでも輪虎はめげずに応戦して切り抜けていった。しかも最終対決は指を失った輪虎と信が壮絶な一騎打ちとなり、一瞬の隙を見せた輪虎を信は斬った。
しかし、飄々とした雰囲気が印象的な輪虎も悲しいキャラクターだったな。史実の人物ではないが、戦災孤児で廉頗に拾われて成長し、過剰なまでの忠誠心を築いて廉頗軍の中枢へとのし上がっていく。廉頗はこの戦いののちに表舞台から遠ざかってしまうので、できれば輪虎には死んでほしくなかったのだが、このエピソードは信が大きく成長するうえで欠かせなかったのだろう。
信は戦いのさなか、輪虎の強さを認めていたのはもちろん、廉頗への忠誠心にも心を打たれていたのかもしれない。輪虎を討った信の何とも言えない表情が、切なくも思えたぞ。
『キングダム』には、まだまだ忘れられない一騎打ちがある。序盤の信と左慈の対決もよかったし、バジオウとランカイや、廉頗と蒙驁もカッコよかったな……。実際、戦場で一騎打ちの場面にはならないものだろうが、まだまだこれからも新たな対決で盛り上がっていくのだろう。楽しみだ。