王騎と龐煖、信と輪虎も…『キングダム』に登場する武将たちの“一騎打ち”がカッコ良すぎた名勝負3選 の画像
『キングダム』19巻 [DVD](エイベックス・ピクチャーズ)

 中国史の春秋戦国時代で、クライマックスとなる秦の中華統一を描いたのが原泰久氏による『キングダム』(集英社)だ。李牧や王翦のように軍略で敵を出し抜くのも素晴らしいのだが、とてつもなくカッコいい一騎打ちも面白い。そこで本作で登場した、カッコ良すぎた一騎打ちの名勝負をここで紹介しよう。

※以下には、コミック『キングダム』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。

 

■大将軍対武神! 最期まで読者を痺れさせた王騎と龐煖

『キングダム』のなかでも名勝負だと語り継がれているのが、秦の六大将軍(六将)・王騎と趙の三大天・龐煖の一騎打ちだろう。馬陽の戦いでは秦と趙が決戦し、ここで秦国の宿敵・李牧が華麗に登場するのだが、しかし、この戦いの主役は李牧や主人公の信でもない。まぎれもなく“秦の怪鳥”の異名を持つ王騎だ。

 かつて龐煖は、秦の六将の一人・摎を倒している。摎は100個目の城を攻略したら王騎と結婚をする約束をしていたのだが、その目前で龐煖によって討たれてしまった。怒り狂った王騎は龐煖の顔面に傷を入れて撃退。死んだと言われていた龐煖だが実は生きており、二人はこの戦で再び相まみえることに……。

 ここまで信もそれなりの強敵と戦ってきたが、王騎と龐煖の一騎打ちは次元が違った。総大将とはいえ武神で孤高の龐煖に対し、大将軍としての重みが王騎の矛を強くする。劣勢になった龐煖の首を捕ろうとした瞬間、王騎は突如現れた李牧の軍勢に手を止めてしまった。そこは龐煖を倒すのが先だろう、王騎……!

 王騎はすかさず全軍に指示を出すものの、結果的に息を吹き返した龐煖に足止めされてしまった。しかも、一騎打ちで優勢になりながらも李牧軍の横やり(弓矢)によって、王騎は一瞬の隙を突かれて龐煖に矛で貫かれてしまう。しかし、王騎は胸を貫かれながらも龐煖を凌駕するパワーを見せつけ、恐怖を抱かせるのだ。

 そして王騎は部下たちの必死の助力で脱出できるのだが、最期の語りは切なかった。『キングダム』前半のクライマックスといえば、やはり王騎の死だろう。信がはじめて尊敬した人物でもあり、彼に与えた影響は大きかった。

 どちらが強かったかといえば、王騎という意見が圧倒的だろう。だが、武神・龐煖もその後、何度も登場しては羌瘣を退け、王騎をして武力は互角と言わしめた麃公ですら討ち取っている。どちらが強いかはもはや分からないのだが、その最期も泣けるほどカッコよかったぜ……。

■超重量級の激突! 意地とプライドで父の愛も混ざった蒙武と汗明

『キングダム』中盤戦の見せ場となったのが、合従軍編だ。秦の蒙武と大国・楚の大将軍である汗明との一騎打ちにも痺れたな。

 ちなみに前哨戦の秦将・騰と楚将・臨武君の対決も見ものだった。圧倒的強さを見せる臨武君に対し劣勢だった騰だが、長年王騎を側で支え続けた強さを見せつけて圧勝していた。

 さて、蒙武と汗明は何度も蒙武が押され続ける。広大な領土を誇る大国・楚では、将軍になることすら難しい。そのなかで大将軍に任命される実力を示していく汗明の気迫は凄かった。

 だが、蒙武も意地とプライドは汗明に負けない。大錘を握りしめて果敢に打ち返すも次第に劣勢になっていくところで、息子の蒙恬が割って入り、汗明に斬られてしまう。

 その姿に怒りの形相となった蒙武が汗明を押し始め、遂に大錘が直撃して汗明を討ち取った。初めて強敵といえる相手と戦った蒙武。意地とプライドはもちろん、普段あまり表には出さない父の愛を見せて勝利したのはカッコよかったな。

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