■美しいけど怖い「キュベレイ」
全体的に白色のカラーリングに、胴体など各所にピンク色のアクセントカラーを施したモビルスーツ「キュベレイ」。そのフォルムはフリフリのドレスのように見える。あるいは、パーツの一つ一つが花びらのようで、白い花のイメージも感じさせる。
そんな「キュベレイ」に乗るのは、髪色がピンク色の20代女性パイロット「ハマーン・カーン」。これだけで考えると、非常にかわいらしい印象を受けるモビルスーツとパイロットではある。しかし、主な登場作品の『機動戦士Zガンダム』および『機動戦士ガンダムZZ』では、どちらかというと非常に恐ろしい存在。
パイロットのハマーンは『機動戦士Zガンダム』では、一大勢力のアクシズの、実質的な最高権力者として登場。「恥を知れ俗物!」などの威圧的な言葉を多用し、モビルスーツ戦もトップクラスに強い。権力的にもパイロットとしても最高峰で威厳もある。まさに「女帝」という雰囲気のキャラクターだ。
機体としてのキュベレイは、ファンネル、ビーム・サーベル、ビーム・ガンといった、シンプルな武装で、攻撃手段の大部分をファンネルに依存している。なかなか癖が強いモビルスーツだが、10基以上のファンネルによるオールレンジ攻撃は強力。モビルスーツ全体の中でも、特に強く描写がされている機体である。
■ビビッドピンクだけど堅実「ガザC」
「バウンドドック」は半分ピンク、「キュベレイ」はピンポイントでピンクが使われているが、「ガザC」はピンクがメインカラーの機体だ。「キュベレイ」と同じアクシズのモビルスーツだからか、こちらもパーツの一つ一つが花びらのように見え、まるで一輪の花が咲いたような華々しいフォルムをしている。
機体色のほとんどがピンク色で全体的にファンシーなイメージを受けるが、作業用モビルスーツの発展型であり、実はかなり堅実な性能をした機体。「ガザC」はアクシズの量産機で、モビルスーツ操縦熟練者でなくとも扱えるというコンセプトのもと開発された機体でもある。
武装はビーム・サーベル、ビーム・ガン、ナックルバスター、脚部クローといったものだが、おもに使われるのは、ジェネレーター直結方式のビーム砲で大出力のメガ粒子砲並みの威力を持っているナックルバスター。それに加えてモビルアーマー形態への変形機構も備えているため、高機動である。
耐久性は犠牲になっているものの、高火力で高機動のモビルスーツであり、操縦技術の練度が低いパイロットでも扱える機体として設計された。後方支援をする移動砲台のように扱うことで、かなり理にかなった無駄の無い性能をしている。ファンシーな見た目とは裏腹に、とても堅実な量産機と言えるだろう。
色的にもフォルム的にも、かわいかったり美しいこれらの機体だが、いずれも真面目に戦闘能力を追求したストロングスタイルの機体ばかり。ピンクからの、意外な性能が発覚するというギャップがたまらない。