■少年からのラブコールに答えた『野に咲く花のように』GACKT

 2007年2月から3月の『みんなのうた』で放送されたのが、GACKTによる『野に咲く花のように』だ。

 NHK公式ホームページによると、この曲は阪神淡路大震災で被災した少年・AくんからGACKTへ一通のメールが届いたことがきっかけで作られたとのこと。

 自身も震災を経験していたGACKTは、震災を機に設立された「環境防災科」の存続を願うAくんに対し、まずは自分自身が魅力的な人間になって入学希望者を増やせるようにするべきだと背中を押す言葉を送っていた。

 そして、Aくんが願っていた学科の存続が決定した年の卒業式、サプライズとして登壇したGACKTが初めて披露したのがこの曲だった。低く優しい声で紡がれる歌詞は、被災してつらい状況にあるなかでも前を向いていこうと、強く訴えるものになっていた。

 GACKTの楽曲というとロック調の曲をイメージする人が多いと思うが、この曲は子どもたちにも響く至極のバラード調だ。少年からのラブコールにこたえた、男気のあるGACKT屈指の名曲と言ってよいだろう。

■まさにヒーローらしい一曲! 『僕らのヒーロー』郷ひろみ

 2010年6月から7月の『みんなのうた』で放送されたのは、日本を代表するスター・郷ひろみによる『僕らのヒーロー』だ。多くのアーティストに楽曲提供している森雪之丞が作詞を、TSUKASAが作曲を担当しており、豪華な顔ぶれが揃った一曲となっている。

 元気なおじいさんがヒーローとなって活躍する様子を軽快なアップテンポで表現しているこの曲は、“齢を重ねて人生の曲がり角に差しかかったすべての人たちに元気を送る歌”とNHK公式ホームページで紹介されていたが、まさにその通りで、ポップなアニメーションも楽しい。

 当時54歳の郷がキレのあるボーカルで見事に歌い上げており、曲中では「Go!Go!Go!」とかけ声も楽しめる。さらに郷は自身の公式YouTubeチャンネルでこの曲の振り付け動画も投稿しており、彼のコンサートで一緒に踊りたいと練習するファンもいるようだ。

 いくつになっても若々しいパワーに満ちあふれた郷。この曲はまさに、彼を表しているようにも思え、ピッタリの楽曲だといえるだろう。

 

 日本を代表する司会者から子役俳優、プロ歌手まで幅広いジャンルの芸能人が歌唱を披露している『みんなのうた』。歌声を聞いて驚いたという人も多く、またプロ歌手による心のこもった楽曲には思わず涙してしまうようなエピソードも隠されていた。
 子どもだけでなく、大人が見ても楽しめる『みんなのうた』。NHK屈指の長寿番組である本番組にぜひ注目して、過去の楽曲たちを振り返ってみてはいかがだろうか。

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