バトル漫画での戦い方はさまざまだ。シンプルな拳同士の勝負から魔法や特殊能力を使うもの、知略を駆使するものなど、ひと口に「バトル」といってもそのジャンルは多岐にわたる。
武器を手に持つキャラにも、刀使いや銃使いなどさまざまいるが、中でもトリッキーなのが「呪いの人形」を手にして戦うキャラクターではないだろうか。人形使いというと危なっかしくて近寄り難い印象を受ける。はたして、その戦力はいかほどだろうか。
まずは『ジョジョの奇妙な冒険』第3部「スターダストクルセイダース」に登場するDIOに雇われたスタンド使いの「呪いのデーボ」。スタンドの名前はエボニーデビルで、その形は呪術に使う木製の人形のようだった。
これは人形を操作することで標的を攻撃するという遠隔操作型のスタンドで、相手への恨みをエネルギー源とするため、作中でデーボはわざとポルナレフに攻撃を受けてから暗殺に取りかかった。
デーボはポルナレフをベッドの下敷きにして動けなくさせてから、じわじわとエボニーデビルで攻めるという攻撃を行う。しかしポルナレフの鏡を使った機転を前に、あえなく退場してしまった。
一度わざわざ標的から攻撃を受けなければいけないという危険な点と、人形への攻撃が本体へも反映されるという点から、ジョジョファンの間では「ハズレスタンド」とも名高いエボニーデビル。なお、これについて作者の荒木飛呂彦氏も、本作は戦いをインフレさせずに登場人物を前進させるために次々と目の前に敵が現れるという仕組みをとっており、デーボは意図的に弱い敵として登場させたという。
見た目がまがまがしく強そうなこともあって、彼の戦闘力はまさに期待外れなものであった。
続いては芥見下々氏による『呪術廻戦』のヒロインの釘崎野薔薇。主人公の虎杖悠仁の同級生だ。
同作は人間の負の感情から生まれる呪霊を、虎杖たち呪術師が呪術を使って倒すという物語。釘崎が武器として使用するのはカナヅチと五寸釘とワラ人形で、相手の欠損した一部にワラ人形を通して呪力を打ち込み、本体にダメージを与える「共鳴り」という戦法が多く登場する。
相手の一部分さえ手に入れれば、防御不可能・回避不可能なのが釘崎の戦法の強いところ。彼女のサバサバした性格も相まって、女子キャラにしては男前な戦い方である。
ちなみに、釘崎のワラ人形はグッズとしてキーホルダーが発売されている。『呪術廻戦』を知らない人が見たらギョッとしてしまうかもしれない。