ファミコンのカセットにバッテリーバックアップが搭載されるようになり、気楽に押せるようになったリセットボタン。しかし、なかには気楽に押せないゲームも存在しました。それが1990年4月20日にファミコンで発売された『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』(任天堂)です。
一時はシリーズ断絶の危機にありましたが見事に乗り切り、最近ではNintendoSwitchで『ファイアーエムブレム エンゲージ』が発売され人気を博しています。そんな人気シリーズの第一作である『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』は口コミで大ヒットし、シミュレーションRPGの草分け的存在となったたソフトです。その魅力はいろいろありますが難易度が高く、ところどころでプレイヤーに突きつけられる「リセットボタンの葛藤」を楽しさとして記憶している人も多いのではないでしょうか。そこで、どんな場面でリセットボタンを前に葛藤、苦悩したのかを紐解いていきたいと思います。
■キャラクターが死んでしまったとき「リセットボタン」を押す? 押さない?
『ファイアーエムブレム』では敵と戦い経験値を得ることでキャラのレベルが上がっていきますが、味方になるキャラは唯一無二の存在で、戦闘でやられてしまったら復活できません。お気に入りのキャラクターが死んでしまったときには、テレビの前で嘆いたものでした。
死ぬのを恐れて参戦できず、最終的には出撃枠に入れずまったく育たないままエンディングを迎えるキャラも多数います。しかし、仲間にできるキャラは仲間にしないと気がすまないし、手違いでキャラをロストさせるなどもってのほか。そんなゲーマー的思想がリセットボタンに手を伸ばさせるのです。
実はゲーム後半にひとりだけ復活させる方法があるにはあるのですが、そこまで引っ張って復活させても戦闘に堪えないし、“エリクサー症候群”的な理由で使わないという人もいたことでしょう。ゆえに誰であろうと「キャラが死んだら」というのは、『ファイアーエムブレム』でもっとも大きなリセットボタンが押される理由ではないかと思うのです。
■“ゼロピン”に絶望! やり直すか否かで悩んだ結果は?
ユニットのレベルがあがると「力」や「技」といった各パラメータがアップして強くなります。ですが、普通のRPGのようにレベルが上がれば必ず強くなるわけではなく、レベルアップ時における各パラメータの成長率が設定されているのです。なかには絶対に上がらないパラメータもあったりするのですが、最悪の場合「レベルが上がったのに一切パラメータが上がらない」、いわゆる“ゼロピン”という悲惨な事態が起こりうるのです。
『ファイアーエムブレム』のマップは戦える敵の数が決まっており、経験値リソースも有限。そんなゲームでレベルが上がっただけというのは罪にほかなりません。マップが始まったばかりなら即リセット案件ですが、ある程度マップ攻略が進んだ状態となると、プレイ時間はもちろんのこと、その間にレベルが上がった他のキャラの成長具合と引き換えにリセットするかを葛藤することになります。その狭間で泣く泣くリセットした人も多かったのではないでしょうか。