『ジョジョ』川尻早人や『ワンパンマン』キングも…雑魚じゃない! “無能力”でありながら思わぬ活躍を見せたキャラクター3選の画像
『ジョジョの奇妙な冒険』ダイヤモンドは砕けない 第18巻

 バトル漫画にはさまざまな“特殊能力”を持つキャラクターが登場する。そんな“能力者”がいる一方、特別な力をいっさい持たない“一般人”でありながら互角以上の戦いを繰り広げる珍しいキャラクターも存在する。そこで、“無能力”でありながら思わぬ活躍を見せたキャラクターたちについて見ていこう。

■“殺人鬼”と孤独に戦い抜いた“黄金の精神”を持つ少年…『ジョジョの奇妙な冒険』川尻早人

 1986年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載を開始し、その独特な作風、強烈な表現によって根強いファンを獲得している荒木飛呂彦氏の『ジョジョの奇妙な冒険』。

 本作の第4部は舞台を日本に移し、架空の都市である“杜王町”に集まる能力者・“スタンド使い”たちの群像劇を描いているのだが、そのなかで能力を持たず、しかも11歳という少年でありながら敵に立ち向かったのが、川尻早人である。

 早人は不仲な両親の間で育った一人息子で、その影響からか小学生でありながら監視カメラを仕掛けて盗撮をするなど、当初は少々根暗な面が強調されていた。

 しかし、父・川尻浩作が作中の最大の敵である“殺人鬼”・吉良吉影と入れ替わってから、彼の日常は一変。早人は父の違和感にいち早く気付き独自に調査を行った結果、吉良吉影がスタンド能力によって他者を“爆破”し、殺害する現場を捉える。吉良もそんな早人の動きを察知するが、早人は自身の盗撮動画をダシに、なんと逆に吉良を脅迫している。

 物語終盤、吉良が新たな能力に目覚めたことで、彼の正体を他人に伝えることが絶望的になってしまった早人だが、それでも諦めることなくわずかな可能性に賭けて奮闘する。

 小学生でありながらさまざまな手練手管の限りを尽くすその姿は“スタンド使い”顔負けで、最終決戦のさなかでは、吉良の能力を解除するためにあえて“自身が爆破される”といったとんでもない度胸を見せつけた。

 彼を自身の能力で治した主人公・仗助も、思わず「まじに小学生かよ」と驚いてしまうほど。幼く無力な少年でありながらも、残された母と家族が住む街を守るという気高き“黄金の精神”で戦い抜いた、なんとも勇猛なキャラクターである。

■兵器を生身で超越するミュータント最強の“牙”…『ARMS』コウ・カルナギ

 1997年より『週刊少年サンデー』(小学館)にて連載された皆川亮二氏による『ARMS』は、肉体に“ナノマシン”を埋め込まれてしまった少年たちが、その望まぬ力に苦悩しつつ、世界の巨大な陰謀に立ち向かっていくSF作品だ。

 作中ではタイトルにもなっている「ARMS」の力を操る数々のキャラクターが登場するのだが、一方でいっさいの能力や兵器を使わず、肉体のポテンシャルのみで戦い抜いたキャラクターがコウ・カルナギである。

 コウはM字の少し後退した前髪と筋肉質な肉体を持つ男性で、黒い胴着のような衣服を身にまとっている。数々の“ミュータント”を収容している施設「アサイラム」のなかでも、最も危険な存在だと恐れられ、「牙(ファング)」という異名を持つ人物だ。

 ARMSの力を持たずして、それを凌ぐパワーとスピードを持ち、なんと生身のまま兵器を持ったキャラクターたちを相手取るなど、身体能力は“超人的”の一言に尽きる。

 たとえば、最強硬度を誇る“ナイト”のブレードをへし折る、音速を超える速度で突進してきた相手にカウンターを見舞う、弾丸を受けても傷を負わない……など、ミュータントであるということを加味しても、その戦闘能力は常軌を逸している。

 本人の性格も実に好戦的で、とある学者からは“生まれながらに全身のチャクラが開いている”と評されており、まさに戦うために産まれてきたような人物である。

「ARMS」をはじめとした数々の近未来兵器が登場する本作において、生物としてのフィジカルのみを武器に戦い抜いた、実にシンプルかつ凶暴なキャラクターである。

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