1979年にアニメ『機動戦士ガンダム』が放送され、4月からは最新作『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の第2期がスタートした『ガンダム』シリーズ。個性的なキャラクターと人間らしく泥臭いストーリーは、今なおファンの心を掴んでやまない。
個性的なキャラクターが多い本シリーズでは、ときに軍服や制服すら個性的。規律正しい隊において衣服の乱れは厳しく罰せられそうなものだが、隊や階級によっては独自のデザインのものを着ることも許されるようで、中には「どうしてそうなった?」と思うような軍服を着ているキャラも多い。今回は、宇宙世紀作品にテーマを絞り、軍服デザインが意外すぎたキャラクターを何人かピックアップして振り返りたい。
■クワトロのノースリーブ
まず同シリーズでの「謎の服」といえば、『機動戦士Zガンダム』でのクワトロ・バジーナを思い浮かべる人は多いのではないだろうか。反地球連邦組織エゥーゴに所属するMSパイロットでMS部隊を指揮する立場にあった、主人公カミーユ・ビダンにも多大な影響を与えた人物だ。
エゥーゴには男性用と女性用にそれぞれ制服が用意されており、それぞれ色や型の違う制服を選べるようだが、クワトロはなぜかノースリーブだった。メインカラーは赤で、襟から肩にかけては黒いデザイン。たくましい腕がのぞけるクワトロに似合うファッションではあるものの、胸元を開けたジャケットの下に、タートルネックの白シャツが覗いていることを考えると、この白シャツもまたノースリーブだと予想ができる、なかなか謎の服と言えるのではないだろうか。
ちなみにヘンケン・ベッケナーも袖なしタイプの制服を着ているが、長袖のシャツの上にジャケットを羽織る自然な着こなし。ファ・ユイリィ、エマ・シーンなど女性メンバーも同じく袖のない制服を着ているが、エゥーゴの女性制服はシリーズの中でも特に人気の高いセクシーでかわいいデザインになっている。彼らと比べてみるとクワトロのノースリーブだけが不思議なデザインに見えてしまうのだ。
なお敵対勢力であるティターンズはというと、どの人物も襟までしっかりと留めた制服を着用し、中には手袋までピッチリと着けているキャラもいる。服装ひとつでも、彼らの思想の違いが伝わってくるようだ。
■金の冠、穴あきスーツのネオ・ジオン
作中で目立っていた軍服を着ていたキャラといえば、『機動戦士ZZガンダム』のハマーン・カーンも外せない。ネオ・ジオンの摂政であり、第1次ネオ・ジオン抗争時における実質的指導者で、高いカリスマ性を持っている強い女性として描かれたキャラクターだ。
ハマーンの着用する軍服はほかの将校と違うオリジナルのデザイン。メインカラーは黒で、所々に金の意匠があしらわれている。さらには肩パッドで(おそらく)ノースリーブ。マントを羽織り、極めつけは顔を覆う冠のような仮面をつけた、特撮作品に登場する、悪の女性幹部さながらの格好といえる。
戦意を高揚させる意図があるのか、ハマーンをはじめネオ・ジオンの将校はこぞって奇抜な軍服を着用している。
まるで水着のような穴あきデザインのキャラ・スーンのスーツ、アイドル服のようなイリア・パゾム、ノースリーブで胸元ザックリの服を着たマシュマー・セロなどなど。パッと見、布がどう繋がっているのか謎の服を着たキャラも多いが、先ほどの『Zガンダム』とともに80年代中期に放送された同作。いずれも当時の日本のファッションが反映されているようで、改めて見ると斬新でかっこいいデザインばかりだ。