■原作者・青山剛昌の想いもたっぷり込められた脚本に


 また、「コナンの脚本を書いていて、いてくれて助かるなって思うのは、ウォッカの存在なんです」と櫻井氏は語る。

「ウォッカって、メンバーの中でいちばん裏表がないのでちゃんと悪人として描けるんです。だからいてくれて助かる(笑)。ミステリアスなキャラクターが多いなか、僕が好きなのはキール(水無怜奈)なんです。キールは、殉職した父親(イーサン・本堂)と同様に“CIAと黒ずくめの組織の二重スパイ”という運命を抱えているキャラクターで、僕は彼女の抱く葛藤がたまらなく好きですね。今回は、そのキールを十分に動かすことができて良かったなと思っています。キールとバーボンとベルモットの交錯が劇中であるのですが、それをラムのセリフと合わせると、なぜ彼らがこんな動きをするのか。勘の良い方ならいまの組織の状況を想像できるかもしれないですね」

 そして今作では、コナンファンなら期待せざるをえない“あの方”の描写があるのも注目だ。

「『名探偵コナン』って、まだ描けないことがとても多いんです。全部は言えないけれど、黒ずくめの組織にも現在進行系のドラマがあるということを伝えたかった。ファンの方は、これを観たら感じてくれるんじゃないかなと期待しています。事前に、灰原哀の両親のことにも関わる『ピスコ編』を観ておくといいかもしれないなって最初は思ったんですが、やっぱり観ないほうがいいかも(笑)。そんなことを言ったら、『全部観ておいて!』となってしまうから(笑)。過去作のオマージュが随所に入っていて、そこには青山先生のアイディアもあります。『(『純黒の悪夢』に登場した)キュラソーも出そうよ!』と言ってきたのも青山先生でした。先生の頭の中で、“ここだけは外せない!”というところをふんだんに盛り込んだ本作を、ぜひ観ていただきたいです」

 

インタビュー第2回に続く…

 

PROFILE
さくらい たけはる
1970年生まれ、東京都出身。1993年より東宝株式会社に入社。在職中に第一回読売テレビシナリオ大賞を受賞。退職後は脚本家に転身。ドラマ『相棒』、『科捜研の女』シリーズなど、ミステリ作品を中心に活躍。劇場版『名探偵コナン』の脚本は、今作のほか、『名探偵コナン 絶海の探偵』(2013年)、『名探偵コナン 業火の向日葵』(2015年)、『名探偵コナン 純黒の悪夢』(2016年)、『名探偵コナン ゼロの執行人』(2018年)、『名探偵コナン 緋色の弾丸』(2021年)を担当。

 

INFORMATION

『名探偵コナン 黒鉄の魚影』
2023年4月14日(金)全国東宝系にて公開

©2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会 

https://www.conan-movie.jp

原作:青山剛昌「名探偵コナン」(小学館「週刊少年サンデー」連載中)
監督:立川 譲 
脚本:櫻井武晴  
音楽:菅野祐悟 
声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、林原めぐみ ほか
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
©2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会 

STORY
 東京・八丈島近海に建設された、世界中の警察が持つ防犯カメラを繋ぐための海洋施設『パシフィック・ブイ』。本格稼働に向けて、ヨーロッパの警察組織・ユーロポールが管轄するネットワークと接続するため、世界各国のエンジニアが集結。そこでは顔認証システムを応用した、とある新技術のテストも進められていた―。一方、園子の招待で八丈島にホエールウォッチングに来ていたコナンたち少年探偵団。するとコナンのもとへ沖矢昴(赤井秀一)から、ユーロポールの職員がドイツでジンに殺害された、という一本の電話が。不穏に思ったコナンは『パシフィック・ブイ』の警備に向かっていた黒田兵衛たち警視庁関係者が乗る警備艇に忍び込み、施設内に潜入。すると、システム稼働に向け着々と準備が進められている施設内で、ひとりの女性エンジニアが黒ずくめの組織に誘拐される事件が発生…!さらに、彼女が持っていた、ある情報を記す USB が組織の手に渡ってしまう…。
 海中で不気味に唸るスクリュー音。そして八丈島に宿泊していた灰原のもとにも、黒い影が忍び寄り……。決して触れてはいけない玉手箱(ブラックボックス)が開かれたとき、封じ込めた過去がいま、洋上に浮かび上がるーー。

続きはこちら!
  1. 1
  2. 2
全ての写真を見る