■『ライディーン』『電童』強い母親と共闘した王子さま

 王子さまの母親のなかには、とてつもなく強い王女さまもいるようだ。

 2000年から放送された『GEAR戦士電童』は、人類抹殺を目論む機械生命体ガルファから地球を守るため、小学5年生の出雲銀河と草薙北斗が電童で戦う物語。そんな北斗の母・織絵はガルファに滅ぼされた惑星アルクトスの皇女ベガ。彼女には兄がいるものの、息子の北斗は紛れもなく王子さまの1人だ。17年前、地球へ逃れたベガは養父に救われ、後に夫・圭介と結婚し北斗を出産。さらに織絵(ベガ)こそが電童の正規パイロットであり、GEAR副司令官としてすぐれた戦闘能力で子どもたちをサポート、そのうえ喫茶店経営したりとトンデモない敏腕主婦ぶりである。

 1975年から放送された『勇者ライディーン』の主人公・ひびき洸を産んだレムリア(玲子)も強い母親だ。レムリアは1万2千年前に妖魔帝国に襲われたムー大陸の王ラ・ムーの娘で、人工冬眠から目覚めた彼女は玲子として洸の父・一郎と結婚。ムー大陸の王子さまである洸だからこそライディーンに搭乗でき、妖魔帝国との戦いも運命づけられていたわけだ。レムリアは妖魔帝国の帝王バラオを倒すためラ・ムーの星を見つけ出すと空飛ぶ古代船で最終決戦に駆けつけ、自身のすぐれた能力を限界まで使用し洸の援護をした後に息絶える。

 亡国の姫として平和のために戦いながらも、子どもを守りたいと思う彼女たちはまさしく「母は強し」だ。

■『ダイオージャ』諸国視察の旅に出た王子さまはロボットに乗って悪を討つ

 最後に紹介するのは、ロボットで世直し旅をする王子さま。

 1981年から放送された『最強ロボ ダイオージャ』とは、時代劇『水戸黄門』をモチーフとした作品。主人公のエドワード・ミトはエドン国の王子であることを隠し、王になるための諸国(同盟星)視察の旅に出る。ミト王子はお供のデューク・スケード(スケさん)やバロン・カークス(カクさん)らとともに、3体のロボットを合体させたダイオージャで各国の悪を挫くのだ。

 普段は悪ガキ小僧のミトだが、正体を明かした際には王子らしい毅然とした態度をとっている。また、老人である水戸黄門と違って14歳のミト王子は恋愛や過ちなど少年らしいエピソードも多く、悪をこらしめる場面は『暴れん坊将軍』を彷彿とさせる爽快な作品であった。

 本来、人々を守るのが王の務めであり、王族に属する王子たちもその例外に漏れることはない。だが、今回紹介した王子たちのほとんどが、自身はおろか父親や母親の出自を知らぬまま、多くが普通の環境で育ち、敵の侵略を受けたことで否応なく戦いに巻き込まれてしまうのだ。

 たとえ白馬に跨っていなくとも、人々のために戦う彼ら王子がキラキラと輝く存在であるのは間違いないだろう。

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