いよいよ4月から放送となるのは、『鬼滅の刃』の新シリーズ『刀鍛冶の里編』。その中で、天才剣士にして、鬼殺隊霞柱・時透無一郎というメインキャラクターを演じるのが、河西健吾。これまで孤独で純真な少年や、チャラめながら高い実力値を持つキャラクターを演じてきた彼の出演作を振り返る!
■三日月・オーガスに震える…!
マウスプロモーションに所属する河西健吾の声優デビューは、2006年。その最初の主演作は15年の『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』で、三日月・オーガス役だ。ガンダム・バルバトスのパイロットである彼は、無垢な少年の容姿とは裏腹に、冷酷非情に敵を殺める異色の「ガンダム」シリーズの主人公となった。兄貴分のオルガ・イツカとともに鉄華団を立ち上げる彼の過酷な運命を描く本作。河西は、「ごちゃごちゃうるさいよ」と敵と見なした人間を次々に屠っていく三日月の孤独と狂気を、恐ろしいまでの冷たさで演じていく。その高低差が極端にない声の表情もさることながら、滲み出る闇を持つ三日月というキャラクターを聡明に演じ、作品自体も新たな時代の「ガンダム」として高い評価を得た。
■異色のローカロリーキャラたち
次いで16年に彼が主演したのが、『ハチミツとクローバー』で知られる漫画家・羽海野チカ原作のアニメ『3月のライオン』の主人公だった。本作で河西演じる桐山零は、中学でプロ入りした天才棋士。幼い頃に両親と妹を失い、現在は高校生としてプロ棋士を続ける孤独な少年である。彼は、ライバル棋士たちとの戦いや、本作のヒロイン・川本ひなたやその家族との関わりの中で、孤独な心を徐々に開いていく。河西は荒んだ零の心を描く序盤から、人とふれあい人間味が出てくる過程に、絶妙な温度感を足していく。まさに繊細な変化が必要とされる役を2シリーズにわたって演じ抜いた。その後、実写版では神木隆之介が演じた零だが、また河西の演じる零もいつか観てみたいところだ。
また、18年には『覇穹 封神演義』で三大仙人の一人にして、怠惰スーツという怠けて過ごすための服をまとい、自堕落に生きる太上老君役。19年の『炎炎ノ消防隊』では、フーセンガムを常に口に含んだ面倒くさがりの特殊消防隊隊員・トオル岸理など、ローカロリーで生きるキャラを好演。『鬼滅の刃』の時透無一郎のキャストとして、河西が発表されたのもこの頃だった。
■甘露寺蜜璃役の花澤香菜と共演した作品
河西の演技力は、個性豊かなキャラ揃いの『東京リベンジャーズ』(21年)でも発揮されている。不良たちの青春とタイムスリップサスペンスをミックスした本作では、東京卍會の肆番隊隊長のスマイリーこと河田ナホヤ役。常に笑顔ながら、言動が一致しない歪みを持つキャラクターを好演した。さらには、美大受験を目指す高校生の物語から始まる『ブルーピリオド』(21年)でも同様。本作で彼が演じるのは、関西弁の橋田悠という、主人公・矢口八虎の同級生。お下げ髪が特徴の美術好きで、主人公の「絵を描くこと」への想いに火をつける役どころだった。
近年の注目作はラブコメ『久保さんは僕を許さない』(23年)の白石純太役。クラスではまったくのモブ男子ながら、「久保さん」こと久保渚咲にちょっかいをかけられまくる主人公役だ。この作品では、『鬼滅の刃』甘露寺蜜璃役の花澤香菜が久保さん役を演じていて、同作とはまったく違う魅力を、河西と花澤がユーモラスに解き放っている。声優の芝居力を深く知るために、ぜひ『鬼滅の刃』を観る前に予習してほしいアニメである。
今年は、『ブルーロック』(22年)の新シリーズへの出演も発表されており、ますますの活躍に期待は高まるばかり。鬼殺隊最年少の柱で、天才剣士の時透の活躍が見られる『鬼滅の刃』の新シリーズとともに、「声優・河西健吾」の「声」に期待したい!