寒い冬が終わり、ようやく春がやってきた。日差しも空気もあたたかく、どこか開放的な気分になるこの季節。桜もきれいに咲いていることだし、まさに行楽シーズンまっさかりの今、お花見に行こうと考えている方も多いのではないだろうか。
お散歩がてら花々を目で楽しむだけでももちろん良いが、やはりお花見に欠かせないのがお弁当だろう。そこで今回はグルメ漫画に登場する「お弁当レシピ」を3つピックアップしてご紹介していく。
■『きのう何食べた?』タッパーに入れるのもポイント…? お花見弁当
よしながふみ氏による『きのう何食べた?』は、ゲイカップルの筧史朗(シロさん)と矢吹賢二(ケンジ)のおだやかな毎日を描く作品だ。彼らの日常に彩りを添えているのが、料理上手なシロさんの作る手料理の数々。調理のシーンが丁寧に描かれているうえ、実際に作る人のためのアドバイスも盛り込まれており、レシピ本のように読める作品としても有名である。
9巻72話でシロさんとケンジは、シロさんお手製のお弁当を持ってお花見に出かけることに。その中身は、梅おかかおにぎりに肉団子、スパニッシュオムレツ、小松菜ののりあえ、かぶとにんじんの酢のものだった。
肉団子は水とケチャップ、めんつゆを混ぜたタレを絡めたもので、定番且つ、お米に合いそうだ。おにぎりを作るときのコツとして、“はじめの3回はかたくむすび、その後は形を整える程度に軽くむすぶ”という具体的なアドバイスが書かれているのも嬉しい。
また、普通の玉子焼きでなく、玉ねぎや赤ピーマンを入れたスパニッシュオムレツが採用されているので、彩りも美しい。酢のものは作り置き、小松菜ののりあえは茹でてカットして和えるだけと、効率を重視するシロさんらしく、手間がかかりすぎていないところもまた良い。ちなみに、お弁当箱ではなくタッパーに詰めるのもシロさん流である。
■『クッキングパパ』お肉も野菜もたっぷりのお花見おむすび
うえやまとち氏の『クッキングパパ』は、料理好きなサラリーマン・荒岩一味を主人公とするグルメ漫画だ。基本的に1話完結型で、美味しそうな料理の数々はもちろん、登場人物たちが繰り広げる温かな物語も魅力のひとつ。1985年から現在にいたるまで連載されており、グルメ漫画の金字塔のような存在だといえるだろう。
149巻収録の1452話は会社のお花見会を描くエピソードで、荒岩の部下・田中一の妻である夢子(夢ちゃん)の“お花見おむすび”が登場する。
おむすびはポークライスとビーフライスの2種類で、どちらにもお肉のほかににんじんや玉ねぎ、じゃがいもなどの野菜が入っており、食べごたえも栄養バランスもばっちりだ。豚肉や牛肉は大きめにカット。ポークライスは和風、ビーフライスは洋風の味付けになっているのも飽きさせない工夫だろう。
いろいろと凝ったおかずを揃えるのも良いが、おにぎりだけでさまざまな味を表現してみるのもまた楽しいものだ。炊き込みご飯や混ぜ込みご飯のおにぎりに、具材をたっぷり詰め込んだ豪華版おにぎりに……など、考えるだけでうきうきしてくる。箸を使わずパクパク頬張れるところも、外で食べるときには手軽で嬉しいポイントだと思う。