『週刊少年ジャンプ』(集英社)は、言わずとしれた日本を代表する少年マンガ誌で、50年を超えるその歴史の中で、数多くの有名作品を輩出している。人気を勝ち得たそんな作品には、必ずと言っていいほど魅力的な主人公と、それに負けず劣らず個性的な敵キャラがいるものだ。そして、そんな敵キャラの中には、並外れた能力だけではなく肉体までもが常人とは異なる“異形”の存在がしばしば登場する。その身体構造の特異さゆえに攻略が難しく、主人公を追い詰める存在にもなり得るのだ。
たとえば、鳥山明氏の漫画『ドラゴンボール』の天津飯は目が3つあって腕を4本出すことができるし、ゆでたまごの漫画『キン肉マン』のアシュラマンは3つの顔と6本の腕を持つ。ひと目でその特徴が理解できるキャラクターは、ストーリーだけでなくビジュアル面でも作品にスパイスを加えてくれる存在なのだ。
そこで今回は、『週刊少年ジャンプ』作品に登場する、体の構造が“異形”なキャラを3人紹介していきたい。
■心臓も秘孔の位置も逆!?
原作:武論尊氏・作画:原哲夫氏による『北斗の拳』には、“異形”のキャラが多数登場する。主に雑魚キャラがいわば出オチ的にそうであることが多いのだが、ボスクラスでも“異形”と言えるのが、南斗鳳凰拳の伝承者である聖帝サウザーだ。
サウザーはラオウと並ぶボスキャラの1人で、多くの人間を虐げて頂点に君臨していた。ケンシロウはそんなサウザーと対決することになるが、なんと北斗神拳が通用しないというまさかの展開に! ケンシロウがいくら秘孔を突いても、サウザーは平然としていた。そして、ケンシロウはサウザーの反撃を食らって重傷を負うことになってしまう。
読者の誰もが目を疑い、「サウザーに秘孔が効かないのはどうしてだろう?」と思ったはずだ。後に明らかになったその理由がまた驚くべきものだった。サウザーは心臓の位置が逆で、秘孔も表裏が逆になっている特異体質だったのだ。正確に秘孔の位置が分からなければ、北斗神拳が通用しないのも当然だ。しかし、さすがはケンシロウ、そんな状況にもすぐに対応し、表裏逆の秘孔を解明してサウザーを打ち負かしてしまった。
最終的には敗れてしまったものの、生まれつきの特異体質という形でケンシロウを追い詰めたギミックは、かなり斬新なものだった。初めて北斗神拳が通用しなかった時のケンシロウの焦った顔は、今でも忘れられないほどだ。
■2つの悪魔の実の能力を得たマーシャル・D・ティーチ
尾田栄一郎氏の漫画『ONE PIECE』にも数々の“異形”キャラが登場するが、その中でも際立っているのが“黒ひげのティーチ”ことマーシャル・D・ティーチだ。ティーチが“異形”と言われる原因になったのは、「ヤミヤミの実」と白ひげから奪った「グラグラの実」の両方を所有したことから。
悪魔の実は通常1人に1つしか所有できないはず……それなのにティーチは2つの能力を使いこなすことができていたのだ。もし悪魔の実を複数所有できるとしたら、最強クラスなのではと思ってしまう。そして、ティーチと他のキャラとでは何が違うのかも気になるところだ。
それは、ティーチに関わってきたキャラたちの会話から次々と明らかになっていく。エースは「人の倍の人生を歩んでいるお前が」と、マルコは「体の構造が…”異形”なんだよ」とそれぞれ話している。この会話の断片からも、ティーチが普通ではないのは明らかである。ではどんな風に“異形”なのか? というと、作中では未だに明らかになっておらず謎は謎のままだ。
だからこそ考察するしかなく、ファンの間ではいろんな説が飛び交っている。「魂が2つある?」「結合双生児ではないか?」「ケルベロスの能力者なのでは?」いずれにしても、ティーチの肉体が“異形”であることには違いない。ティーチの持つ海賊旗に描かれた3つのドクロの意味も含め、その謎が明らかになる日を待ちたいところだ。