■少年期から老後まで、生涯の全てが描かれたフリット・アスノ

 最後に紹介するのは、全4部構成で世代を重ねた3人の主人公がいた『機動戦士ガンダムAGE』(2011~2012年/全49話)の第1部で主人公だったフリット・アスノだ。

 自身が設計したガンダムAGE-1に乗る天才ぶりを発揮するのもなかなか珍しいが、何よりも作中で老いて亡くなるまでが描かれているのが異例のことだった。基本的に『ガンダム』シリーズの主人公は、本編終了後にスピンオフや続編で登場することはあれど、天寿をまっとうするまで描かれることはない。しかしフリットは、息子のアセムが主人公となった第2部では40歳前後、さらに孫のキオが主人公となった第3部では63歳となっており、退役してはいるが戦闘にも参加していて、その意味ではまだ現役バリバリだった。さすがに最終回のエピローグでは故人となって銅像が建てられているが、その時点で生誕100年なので相当長生きしている。

 長期間の戦争を舞台とした作品で、しかも終始復讐の鬼となっていた男の一生が描かれ、なおかつ戦死しないというのは、『ガンダム』シリーズのみならず他の創作物を見渡しても珍しいパターンなのではないだろうか?

 

『ガンダム』シリーズの歴代でも異色な主人公を3人紹介したが、加えて筆者が個人的に注目したいのは、最新作であり4月9日(日)から第2クール(Season2)の放送がスタートする『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の主人公で、愛機ガンダム・エアリアルを駆るスレッタ・マーキュリーだ。

 シリーズ初の女性主人公ということで放送開始前から話題を集めたスレッタだが、プロローグ+第1クール全12話を経てもなお、様々な謎が残されており、ファンの間でも考察が重ねられてきたが、いったいどんなキャラクターなのか、その全貌が明らかになるであろう第2クールの放送を待ちわびていた人も多いだろう。作品のストーリーそのものも気になるが、『ガンダム』シリーズの主人公としてどんな爪痕をスレッタが残してくれるのか、という点についても期待したい。

  1. 1
  2. 2