『ファミコンウォーズ』『MOTHER』『ファイアーエムブレム』も…今でも口ずさみたくなる懐かしの「ファミコンCM」を振り返るの画像
画像はファミコン用ソフト『ファミコンウォーズ』(編集部撮影)

 ゲームのCMといえば、迫力やスピード感を重視した映像や、芸能人を起用することで視聴者の目を惹くものが多いが、30年ほど前に放送されていたファミコンのCMでは、耳に残る独特な曲や映像が視聴者に強烈な印象を与えていた。今回はそんな懐かしのファミコンCMをいくつか紹介したいと思う。

■どえらいシミュレーションといえばコレ『ファミコンウォーズ』

 まず初めに、1988年に発売したウォー・シミュレーションゲーム『ファミコンウォーズ』のCMを振り返ろう。

『ファミコンウォーズ』はそれぞれ特徴が違う数種類のユニットを、敵の配置や地形を読みながら将棋のように動かしていき、指定された条件のクリアを目指す、シンプルながら奥深いゲーム性が特徴だ。

 そんなファミコンウォーズのCMは、当時テレビを観ていた人に深い印象を植え付けたことだろう。

 数人の軍人がミリタリーケイデンス調のリズムに合わせて行進し、並走する教官らしき人物が「ファミコンウォーズが出―るぞー!」と歌うと、軍人の集団もそれに合わせて歌いだすのだ。リズム良く「のめり込める!のめり込める!」と連呼しながら過酷なトレーニングの様子が流れ、「母ちゃんたちにはナイショだぞー!」というフレーズで締めくくられる。

 一度聴けば忘れられない歌詞もさることながら、このCMの驚くべきはゲームの映像がCM中に一切出てこないところである。今ほどネットが普及しておらず、当時の貴重な宣伝方法であったであろうテレビCMにおいて、ゲーム映像を流さないとはかなり攻めたCMといえるだろう。

 のちに長く続くシリーズの火付け役として、大きな役割を果たした『ファミコンウォーズ』のCM。今でもふと思い出して、口ずさんでしまう人も多いのではないだろうか。

■エンディングに辿り着けず涙?『MOTHER』

 続いて紹介するのは、1989年に発売したRPG『MOTHER』のCMだ。

 コピーライターの糸井重里氏がディレクターを務めたことでも話題になったゲームで、アメリカを舞台に子供たちが超能力を駆使しながら冒険する、ファンタジー要素を含んだゲームである。

『MOTHER』のCMはおごそかな讃美歌のような歌が流れるなか、巨大なロボット兵器が怪しく周囲を見渡している様子から始まる。対峙する3人の子どもたちはロボットに見つかってしまうのだが、子どもたちが何かを念じると火球がロボットに向かって放たれ、ロボットは破壊される。その後、発生した巨大なキノコ雲を指差す様子が流れながら、「エンディングまで泣くんじゃない」というナレーションが入り、最後には「名作保証。」と謳い、デカデカと『MOTHER』のタイトルが表示されCMが終わるのだ。

 醸し出される独特の雰囲気で視聴者を引き込み、強烈なキャッチコピーで印象を刻み込む。ゲームの映像こそ流れないものの余計な映像が一切ない、十分すぎる宣伝であったことは間違いない。とくに「エンディングまで泣くんじゃない」というキャッチコピーはまさに“キャッチー”で、今、聞いても胸に来る人も多いだろう。

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