■核となる「死の4分前にモドル」能力
さて、もう一つこのゲームの核となるのが、「死の4分前」に戻れる能力。
実は先ほどのリンネは、一旦死の運命から逃れられたものの、結局なんだかんだで男に撃たれて死んでしまいます。
リンネを救えなかったシセル……と思いきや謎の声の主から死んですぐの遺体にトリツけばその「死の4分前」にときを戻せる能力があることを知らされます。この「4」も「死」にかかっているんでしょうねえ。
ここからがピタゴラスイッチの本領発揮。さまざまなギミックを使って過去を改ざんして、死の運命から救ってあげなくてはいけません。
最初のうちはヒントも多いのですが、後半になってくると動かせるものが多かったり、逆に限定されていて何に使うのかも分からなかったり、と悩んでいる間にも、時間が進んでいきます。
この時間経過が謎解きにも多大な影響を与えるので、実はこの4分という時間にもしっかりとダジャレ以外の意味を見出しているところにも本作の丁寧さを感じますね。
基本的にはこんな風に、シセルの魂がさまざまな死を目の当たりにして、それを試行錯誤して救っていくというゲームなのですが、物語とキャラクターの個性にぐいぐい引き込まれます。
ちょこちょこ入る変なセリフ回しも絶妙なコメディセンスがあって、好きな人にはたまらないでしょう。スーツの男の殺す前の口上やリンネの愛犬かつ主人公の忠実な見方でもあるミサイルなど、いわゆるサブ的な要素にもふんだんに気を配っているのが最大の魅力といえます。
■謎が一気に回収される圧倒的体験
本作は登場人物がわんさか出てきて、殺したり殺されたり殺されなかったりするのですが、彼らがどのように「シセルの死」に関係してくるのか。シセルはなぜ殺されたのか。
その謎がいろんなところにぶわーっと散りばめられて、そして一気に回収されます。その回収っぷりたるや、すさまじいです。スピード感というか、とにかく「めちゃくちゃ良い体験だったな」と3日くらいほかのことを考えられなくなるはずです。それほどすごい作品なので、まだプレイしたことがない人はぜひこの機会にプレイしてみてはいかがでしょうか。
リマスター版は、SwitchだけでなくPS4/Xbox One/Steamでもプレイ可能。発売日は6月30日を予定していて、すでに予約の受付も始まっています。
なんだかSwitchで昔のゲームが発売されていくのを見ていると、面白いゲームはどんな時代に誰がやってもちゃんと面白いんだなと実感しますね。リマスターやリメイクで綺麗に遊びやすくなるのであれば、どんどん過去の作品を現代版に直してほしいなと思います。
ちなみに僕が今リメイクしてほしい作品は、ぶっちぎりで『ヒーロー戦記』です。