2023年5月12日にいよいよ待望の続編『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』が発売となります。またその翌月、6月22日にはPS5用にシリーズ最新作『ファイナルファンタジー16』も発売となり、ゲームファンにとってはスケジュール調整がかなり難しくなりそうな今年の夏。
そして、そんな積みゲー候補の一角となりそうなタイトルとして、2月9日配信のニンテンドーダイレクトでリマスター版の発売が発表された『ゴーストトリック』も外せないでしょう。
2010年にカプコンからニンテンドーDS用ソフトとして発売された同作は、人気シリーズ作品『逆転裁判』を手掛けた巧舟さんが制作に関わっているとのことで当時も話題になったミステリーゲームの名作。iOS版・Android版がリリースされていますが、これまでリメイクされることがなかった本作がとうとう高解像度・高フレームレートで登場することになるという突然の発表に、歓喜したゲームファンも多いのではないでしょうか。
その一方で、ゲーマーの間でとても話題になっていた作品ではあったものの大ヒット作ではないので、プレイしたことがない人も多いことでしょう。
そこで今回は、音楽も最高でサントラが入手困難にもなっている「知る人ぞ知る名作」である『ゴーストトリック』について、改めて魅力を紹介していきたいと思います。
■巧舟氏による“コミカルかつシリアス”なオカルト世界
主人公はシセル。ゲーム開始時点ですでに死んでいて、生前の記憶すら全くありません。この主人公が世界のことを知らないという設定は『FF10』におけるティーダと同じように、プレイヤーと同じ情報量でゲームを楽しめるという特徴があります。
本作ではシセル自身もなぜ殺されたのか、という自身の死の真相を追い求めるということも重要な要素になっており、この謎を解くためにさまざまな死を救い続けていくことになります。
ゲーム開始時、いきなり黒スーツの男に銃口を構えられ今にも殺されようとしているのが、ヒロインのリンネ。
その男とリンネの間で、おしりを突き出すようにして倒れているのが主人公という、シリアスとコミカルを融合している本作ならではの冒頭に、もうすでに心をつかまれる人も多いはず。
ゲーム内での「死」「殺人」というテーマはどう考えても重たく、表現するとなかなかとっつきにくいものではあるのですが、逆転裁判でも登場人物の名前をダジャレにしたり、音楽や演出で明るく見せたりして、死というものをなるべくライトに見せる工夫がなされていました。ゴーストトリックでも主人公・シセルの名前からお察しの通り、名前がダジャレの登場人物がわんさか出てきます。リンネもそうですね。
人が死ぬ、という情報をいかにエンターテインメントに仕上げるのかは腕の見せ所ですが、やはり巧舟さんが手がけるとコミカルさとシリアスさのバランスをしっかりと表現されていますね。ここが最大の魅力ともいえます。
■「トリツク」「アヤツル」のパズルで死を救う
さて、今にも殺されそうなリンネともうすでに死んでいるシセル。一体どうすれば、リンネを救えるのでしょうか。
すると「のんびり死んでいる場合ではございません」とシセルを呼ぶ謎の声が。
その声の主が言うには、シセルに宿る魂がほかのもののコアに「トリツク」ことで、彼女の運命を変えられるかもしれないと。
言われるがまま、スーツの男の近くにあった“シャダンキ”にトリツクと時間が動き出し、男が銃の引き金を引いてしまうその刹那。
シセルがシャダンキを動かすと男の銃が上にはじかれ、リンネを救うことができました。
と、このような形で、シセルがなにかに「トリツク」、その何かを「アヤツル」、それを繰り返すことで誰かの死を救っていくというのがこのゲームです。
ピタゴラスイッチ、とも称されるパズルゲームなのですが、パズル要素がメインではなく、あくまでアドベンチャーゲームなので、解法は基本的に1つしかありません。
先に言っておきますが、難易度も易しくはありません。ただ、だからこそ面白い。何度も失敗しながら解けたときの気持ちよさは格別です。
ちなみに明らかに引っ掛けようとしている罠もありますが、その際にしか見られない登場人物の掛け合いもあるので、あえて引っかかるのもよいでしょう。ちなみに初見では誰しもが引っかかるであろう罠もあります。あれに引っかからない人いるんかな……。