日本だけでなく、世界中で愛されている『スタジオジブリ』の作品たち。大人から子どもまでを夢中にさせる作品には、『となりのトトロ』に登場する「トトロ」や「ネコバス」などをはじめ魅力的なキャラクターが多く登場し、ファンを魅了し続けている。
そんなスタジオジブリ作品だが、キャラクターたちが別の作品をまたいで登場する“クロスオーバー”がたびたび見られるのをご存じだろうか。そこで今回は、夢の共演を描いた“クロスオーバー作品”をいくつか取り上げていきたい。
■『天空の城ラピュタ』のロボット兵の肩にいたのは『風の谷のナウシカ』の“キツネリス”だった
1986年公開の映画『天空の城ラピュタ』。空に浮かぶ伝説の城・ラピュタをめぐる冒険が描かれた本作は、地上波で放送されるたび、滅びの言葉である「バルス」が使われるタイミングでSNSが賑わうなど、現在においてもその人気は衰えていない。
さて、本作にもクロスオーバーシーンが登場する。主人公のパズーとシータが嵐をかいくぐり、なんとかラピュタにたどり着いたとき、彼らのもとへ1体のロボット兵が歩み寄ってくる。
このロボット兵の肩に乗り、楽しそうにじゃれあっている数匹の小動物——それが、1984年公開の映画『風の谷のナウシカ』に登場するキツネリスなのだ。
ナウシカの師・ユパが持ち帰りナウシカの指を噛んだキツネリスは「テト」と名付けられ、ナウシカの良き相棒となった。大きな耳とふさふさしたしっぽ、緑色の綺麗な瞳とトラ柄の体はそのまま、ラピュタではロボット兵の友人のような存在で登場している。
あまりに自然な登場シーンのため、つい見落としてしまいがちだが、次回見る際にはぜひ注目してみてほしい。
■一瞬だけど豪華すぎる共演!『平成狸合戦ぽんぽこ』には空飛ぶジブリキャラたちが登場!
スタジオジブリ作品のクロスオーバーのなかでもひときわ豪華なのが、『平成狸合戦ぽんぽこ』だろう。昭和40年代の多摩丘陵を舞台に、狸たちが都市開発計画を阻止するため奮闘するというファンタジーな内容の本作。
作中で狸たちが妖怪に化けて“百鬼夜行”を作り上げ、人間の住むニュータウンを襲うシーンがあるのだが、ここで豪華なスタジオジブリ作品のキャラクターたちがクロスオーバーしている。
狸たちが思い思いの妖怪や怪物に変身するなか、1988年公開の映画『となりのトトロ』の大トトロがコマに乗って飛行していたり、1989年公開の映画『魔女の宅急便』の主人公・キキがほうきに乗って登場していたりするのだ。
それだけでなく、1991年公開の映画『おもひでぽろぽろ』の主人公・岡島タエ子が空を泳ぐ空想の姿で登場したり、『紅の豚』のポルコにいたっては、自慢の愛機“サボイアS.21試作戦闘飛行艇”に乗って飛ぶ姿が描かれていた。
豪華すぎるキャラクターたちの共演だが、クロスオーバーで登場したキャラクターたちは、どこか原作とは違う様子で登場していた。たとえば、キキは相棒の黒猫・ジジを連れていなかったり、大トトロはサツキやメイ、中トトロや小トトロなどを体にくっつけることなく飛行しているように見える。
これらのことから、『平成狸合戦ぽんぽこ』に登場するスタジオジブリ作品のキャラクターたちは、あくまで“狸たちが化けている姿”なので“本物”ではないのだろう。いずれにせよ、製作スタッフの遊び心がうかがえる印象的なシーンだ。