アニメ放送開始から30周年を迎える『忍たま乱太郎』。今やすっかり夕方の子ども向けアニメの定番になり、世代をまたいで広く受け入れられている。
ところで、本作に登場する一年は組の教科担当・土井先生(土井半助)と、フリーの売れっ子忍者・利吉さん(山田利吉)は、“初恋泥棒”あるいは“初恋キラー”として有名だ。彼らに初恋を奪われた女性は数知れず……。それ以外にも、本作には少女のハートを射止めるようなイケメンキャラが目立つ。ここはひとつ元少女の目線から、『忍たま乱太郎』に登場した初恋キラーのキャラクター陣について振り返ってみたいと思う。
■土井先生は近くて遠い“オトナ”の男性
学校や塾の先生に恋心を抱いたことのある女性は、割と多いのではないか。教え方が上手で、生徒思いで、いざというとき頼りになって、でもちょっと抜けたところもあって……そんな先生は子どもから人気があるし、大人でも好感を持つことが多いだろう。
土井先生も、初恋相手にふさわしい理想の先生だと思う。知識が豊富で、授業も丁寧だし、面倒見が良い。一年は組の面々があれだけ怒られながら土井先生を嫌いにならないのは、彼が生徒思いの頼れる良い先生だと、生徒たち自身が感じているからだろう。
そんな“良い先生”が、戦いの場面では瞬時に“優秀な忍者”の顔になる。このギャップがたまらない。
普段はほかの先生に振り回されていて、胃炎に悩まされ、練り物が食べられなくて食堂のおばちゃんに怒られている、そんな身近で大好きな先生が、プロ忍者として自立しているオトナの男性の一面を持っていたら……これはもう、初恋を奪われちゃうのも当然ではなかろうか。
これでイケメンなうえに声が関俊彦なのだから、もう言うことはない。
■土井先生好きにも刺さる? 知的で優しい利吉さん
目元のスッキリした爽やかイケメンの利吉さんは、土井先生とはまた違った魅力がある。 彼はフリーで活躍するプロ忍者で、忍術も火縄銃も完璧、知的で優しく、ワーカホリックだ。そんな“カッコよくて仕事のデキる憧れのお兄さん”も、やはり初恋の定番だろう。山田先生の息子で、土井先生と旧知の仲というポジションも、ただの憧れよりちょっと身近な存在に感じさせてくれて良い。
また、利吉さんの登場回数は少なく、レア感がある。その少ない回数のなかで、スランプに悩む様子や、マイペースな小松田さん(小松田秀作)にペースを乱される様子など、弱い部分や可愛らしい部分が描かれている。それも人気に拍車をかけたのかもしれない。
そういえば筆者のクラスメイトで「ずっと土井先生が好きだったけど、利吉さんも好き。どっちか選べないから、いっそ二人が付き合えばいいのに」と言う猛者がいた。彼女は利吉さんを機にBLの扉を開いたのかもしれない。そう思うと、なんだかいろいろと感慨深く思う。
■ひたすら優しい伊作先輩
理想の先生、憧れのお兄さんと来たら、次はやっぱり“先輩”だろう。なかでも六年は組の善法寺伊作は、2011年に行われた人気投票で並みいるほかのイケメンを蹴散らし、上級生グループ第1位を獲得した。
伊作先輩はとにかく優しく穏やかで、面倒見も良い。保健委員長で薬に詳しく、誰でも分け隔てなく治療してくれる。そういうお医者さん的なところが、憧れの対象にもなりやすいかもしれない。
一方で、期限切れの薬剤を料理にして提供しようとしたり、おにぎりに下剤を仕込んだりと、ちょっぴりぶっ飛んだ側面を持っているのもなんだか魅力的に思える。災害級の不運を自他にまき散らしながら、本人は変わらずほわわんとしているのも良い。
とはいえ初恋世代の少女が伊作先輩に魅かれるのは、ただただ優しいところや、医者的な役割に対してだろう。彼に初恋を奪われた子はきっと優しい人になるのだろうな、と思う。