『弱虫ペダル』に『柔道部物語』3月は別れの季節“泣けるエピソード”が多い…スポーツ漫画の切ない「先輩の卒業」の画像
ヤングマガジンコミックス『柔道部物語』第1巻(講談社)

 現在卒業シーズン真っ只中。ともに青春時代を過ごした仲間との別れを惜しんでいるという人も多いだろう。特に、なにか同じ経験をしたり、長い期間を一緒に過ごしてきた人との別れは、心にポッカリと穴が開いたような寂しい気持ちにさせられてしまうもの。

 同じ経験や、長い期間を一緒に過ごすことといえば部活動。スポーツ漫画で描かれる卒業シーンは、読者もこれまでさまざまな試合を見守ってきただけに、キャラクターに感情移入してつい号泣してしまうようなエピソードが多い。

 もちろん「サザエさん時空」と呼ばれる、キャラが歳を取らずに永遠に同じ学年を繰り返すものや、『新テニスの王子様』のように卒業しても同じメンバーがまた漫画に登場することもあるが、実際に作中で時間の経過があり、キャラたちが卒業していく作品は「彼らにもう会えないんだ」ということを否が応でも実感してしまうもの。そこで今回は、卒業シーズンが切なすぎたスポーツ漫画を紹介したい。

■『弱虫ペダル』先輩たちとの別れ

 まずは、2008年から『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて連載されている渡辺航氏による『弱虫ペダル』。オタク少年である高校1年生になったばかりの小野田坂道が自転車競技に出会い、先輩や仲間と切磋琢磨し他校のライバルと戦いながら成長していく姿を描く。

 坂道は作中で高校2年生、そして3年生へと進学するので、当然のことながら先輩たちは卒業していってしまう。そして、特に切ないのがいつもアドバイスをしてくれる憧れの先輩・巻島裕介との別れだ。

 ずっとママチャリで秋葉原に通っていた坂道は、いつの間にか上り坂に強いクライマーとしての能力を持っていた。よって同じクライマーの先輩・巻島から指導を受けることとなり同じ時間を過ごすことも多かったが、巻島は最後のインターハイで5位に終わり、自転車競技部を途中退部して前倒しで9月から海外へ留学。このことがきっかけで坂道も不調におちいってしまう。

 巻島は本来の卒業式には当然ながら参加していないが、部の集合写真では主将だった金城の計らいで、彼の代わりに写真の真ん中には椅子が置かれた。

 なお、同作は本編の他に巻島らの世代の3年生に焦点を当てた『弱虫ペダル SPARE BIKE』がある。こちらを読むことで彼らがより身近に感じられるだろう。

 また、コミックス81巻では坂道らが1年次に2年だった1つ上の学年の手嶋・青八木・古賀の卒業シーンが描かれ、こちらも泣けると話題に。

 部での卒業祝いのあと下級生が卒業生を見送り、最後の帰路に着く3人は他愛ないやりとりをしながら部活での日々を思い出す。学校の前で手嶋が「ありがとよ、総北…!!」と言うシーンは、彼らがいかに本気でロードレースに取り組んできたかが言葉以上に伝わるものだった。

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