■さらわれたワタルを助けるため、魔神に乗って大冒険！
ストーリーはアニメと同じ戦部ワタル……ではなく第七階層に向かう途中でワタルがドアクダーに誘拐された場面にたまたま居合わせた旅の少年。龍神丸はその少年に事情を話し、ワタル救出に協力してもらうという冒険ストーリーです。ワタルのほかに忍部ヒミコや剣部シバラクといったアニメのキャラクターが登場し、龍神丸や戦神丸といった味方の魔神と、ドアクダーの魔神とのバトルが繰り広げられることとなるのです。
少年は最初、龍神丸に乗って戦いますが、ゲームが進むと戦神丸や幻神丸に乗れるようになり、さらには雷神丸といったゲームオリジナルの魔神に搭乗できるようになります。この雷神丸はドット絵しか存在しておらず、いまだにイラストにもなってないためデザインの詳細が不明な魔神だったりします。『七魂の龍神丸』配信前後に、様々なタイプの龍神丸がホビーで発売されたときに、一緒に立体化してもらえればよかったのになとも思ったりしたものです。
■ちょっと待て！ 安易なリセットは悲劇を招く!?
アクションの楽しさや魔神の存在のほかに、『ワタル外伝』で忘れられないのがセーブシステム。バッテリーバックアップ採用で、町の宿屋に話しかけるとデータがセーブされるのですが、正しい手順で電源を切らないと、再開時に所持金が激減するうえ、アイテムが消えることもあるのです。
バッテリーバックアップが普及した結果、ＲＰＧで戦闘に負けたり、微妙な装備品を買ってしまったりしたときにリセットしてやり直すのは当たり前になりつつありましたが、『ワタル外伝』でそれをやって取り返しがつかないことになりすごくへこんだ覚えがあります。本作の戦闘に緊張感があったのは、敵の強さだけでなく、リセットでやり直せないというのもあったからでしょう。
■フランクでユーモアな会話が楽しい意欲作
『ドラクエ』風のフィールドマップながらも、バトルは完全なアクションと一般的なＲＰＧとは一線を画していた『ワタル外伝』。変わっているのはシステムだけでなく、町の人々との会話もやけにフランクでユーモアにあふれ、システマチックなセリフにならないよう工夫が凝らされています。
それが『ワタル』の世界観に沿ったものというわけでもなかったので、そういう作風なのか、それともこれまでのＲＰＧとは違うものを作ろうという意欲の表れなのかどうなのかは分かりません。
しかし、結果的にこれが個性的なＲＰＧとなったことは間違いありません。当時、『ワタル』を見ていなかった、もしかしたら生まれてすらいなかった人も『七魂の龍神丸』で『ワタル』を知った、『ワタル』のファンになったという方もいるかと思います。そんな方々のなかで、もし『ワタル外伝』に触れる機会があったら、ぜひ龍神丸と一体となって遊んでみてほしいと思います。
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