『魔神英雄伝ワタル』『アイアンリーガー』『リューナイト』子どもたちに愛されたサンライズの「SDロボ」アニメ名作3選の画像
『魔神英雄伝ワタル』(C)サンライズ・R

 SDとは、スーパーディフォルメの略である。マスコットキャラや「ちびキャラ」など頭を極端に大きく描くデザイン手法だ。『機動戦士ガンダム』関連では「ガン消し」に「カードダス」を中心にSDキャラがブームを起こし、現在も「SDガンダム」としてゲームやプラモデルなどで人気を誇っている。

 そんなSDキャラは、元のリアル頭身のキャラをSD化したものだけでなく、昭和から平成にかけては「元からSD」というロボットアニメも数多く作られた。

 メカっぽさを残した独特の味があり親近感も沸く「SDロボ」たち。今回は最近ではめっきり少なくなってしまった、SD頭身の名作ロボットアニメを振り返りたい。

■今も続く名作SDロボットアニメ『魔神英雄伝ワタル』

 ガンダム以外でのSD頭身のロボットと言えば、今から約35年前となる1988年4月から始まったアニメ『魔神英雄伝ワタル』を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。小学4年生の主人公である「戦部ワタル」が半和風のファンタジー世界へと転移し、SD頭身のロボットで戦うというアニメだ。

 ワタルが図工の時間に作った粘土のロボに金龍の魂が宿った龍神丸をはじめ、シバラクが搭乗する戦神丸に、クラマが乗る空神丸など、2頭身にスーパーデフォルメされたロボ(魔神)がかっこよく、関連おもちゃも人気を集めた。

 ファンタジー世界で勇者が魔王を倒す、『ドラゴンクエスト』をはじめとするRPGのような世界観と展開。SDガンダムのカードダスや、ビックリマンシールのキャラクターのような、キャラクター及びロボットデザイン。どれも当時流行していた要素がたっぷり詰まった、子どもたちの好奇心を狙い撃ちするかのような内容だった。

 初代『魔神英雄伝ワタル』の放送は1989年3月で最終回となったが、その後も断続的に、テレビアニメやOVAで続編が放送されることとなる。そして、2020年にはWebアニメとして『魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸』が配信された。現在まで動き続けているコンテンツだ。

 アニメ以外にも、ラジオドラマや漫画、ゲームやプラモデル、小説。パチンコ化までもされている。

■まさかのスポ根SDロボットアニメ『疾風!アイアンリーガー』

 続いては今年放送30周年を迎える1993年から放送されたアニメ『疾風!アイアンリーガー』。こちらはSD頭身のロボットものではあるが、サイズ的には人間と変わらないタイプのSDロボットが登場する。当時流行したSDガンダムも、この人間の身長と変わらないタイプのSD作品だった。

 2、3頭身が基本のSD頭身は、『魔神英雄伝ワタル』や『覇王大系リューナイト』と変わらないが、こちらのロボットは操縦者が居ない、AIを搭載した自身で動くタイプとなっている。サイズ的には身長の平均は人間よりやや高いぐらい。それにともない横幅はかなり大きくなっている。とはいえ基本的には人間と同列に過ごすことが多い。

 このタイプのアニメは『疾風!アイアンリーガー』や「SDガンダム」シリーズの他にも一時期は多数作られた。『キャッ党忍伝てやんでえ』や『からくり剣豪伝ムサシロード』もその例に当たるだろう。

 とはいえ、それらSD作品の中でも『疾風!アイアンリーガー』は異質な存在で、本作のテーマは“スポ根”。設立から万年最下位だったチームが「マグナムエース」をはじめとするAIロボット・アイアンリーガーの活躍をきっかけに変わっていくという物語で、王道かつ骨太の展開は今見ても少しも色あせていない。 

 2023年1月に行われた「サンライズフェス2023」では同作の30周年を記念して、上映会やマグナムエース役・松本保典やマッハウインディ役・置鮎龍太郎、ゴールドマスク役・太田真一郎らによるトークショーを実施。30周年のこの機に、『疾風!アイアンリーガー』の魅力に触れてみてはいかがだろうか。

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